友人と2人で夕陽を見ることになった。午後3時頃集合し暫し太陽の定点観測。
場所は、狭いが一応砂浜、季節は初春なので辺りには誰も居ない。
何故夕陽を見ることになったのか今では不明だが、2人とも黙々と太陽を見続けた。
徐々に空の色が変わり、風が強くなってきた。
気付けば呼吸に支障を来す程のかなりの向かい風、だが、取り憑かれたように太陽を見続けていた。
雲も大群で押し寄せて来る。ますます風は強くなり、地響きのように体感される。
水平線の上に帯状に雲が広がり、太陽が雲の向こうに隠れ始めると目を開けているのが困難になる程風が強くなった。
地響きも一段と激しくなったが、目は完全に太陽に釘付け。
雲の向こうに隠れ始めてからは太陽は物凄い速度で落下して行く。
いよいよ最後の瞬間、太陽の最後の欠片は一瞬輝きを増し、それと同時に体の中心がガクッと震動した。
地球の自転を体感したのだろうか。太陽が姿を消したと同時に風は止み、雲は南に向きを代えゆっくり流れて行った。
ニートから脱却し、地元の自動車工場で働き出して1年半程過ぎたであろう夏の出来事。
その日は夕方からの仕事だった為昼過ぎに自宅を出た。
通勤手段は電車、車内ではよく読書をして過ごした。その日も同様で、読んでいたのはアメリカの有名な医者アンドリュー・ワイル著『太陽と月の結婚』という本。
ワイルさんの不思議体験集といった内容の本で、その中でワイルさんが有名なイスラエル人超能力者ユリ・ゲラーに遭遇したエピソードを読んでいた。
最寄り駅に着くと同時にそのエピソードを読み終えた。
駅から工場までは徒歩で約15分。その道中、市の体育施設があるのだが、そこが視界に入って来ると同時に施設内からそこでテニスをしていたであろう男女5人程が出て来てこちらに向かって来た。
距離は約50m、男女が横並びになって向かって来るので邪魔だなと思いながらもその横並びの陣形に何か違和感を感じた。
徐々に近づき、その中央に居る男性に目が向いた。というよりその男性が着ている緑のTシャツに目が向いたのだ。
そのTシャツは安っぽいシルクスクリーンで誰かの顔がプリントされていた。
いよいよすれ違おうとした時、ぼくは目を見張った。
その顔はユリ・ゲラーだった。
霊感は基本的に無いと思っているのだが、ジブラルタル海峡から帰還した後のある夏の夜の出来事。
自室のベッドに横たわり軽い瞑想状態に入っていたところ、すき間風が吹いたのか、カーテンの片隅がガサゴソと。
不気味な雰囲気に「んな分け無い」とタモリが脳の片隅で呟いたのだが、その刹那、もう一方の片隅に誰かが現れた。
「んな分け無い」と思う根拠が無いことをタモリでは無い方の誰かが伝えて来たのだ。
その瞬間、空気が変わった。
皮膚が1枚剥けるような感覚だった。