John Surman/Karin Krog/Terje Rypdal/Vigleik Storaas『Nordic Quartet』


1994,8 (ECM)

John Surman (ts,ss,bcl)
Karin Krog (vo)
Terje Rypdal (gt)
Vigleik Storaas (pf)

1.Traces
2.Unwritten Letter
3.Offshore Piper
4.Gone To The Dogs
5.Double Tripper
6.Ved Sorevatn
7.Watching Shadows
8.The Illusion
9.Wild Bird


ノルウェー出身の3人にイングランド出身のジョン・サーマンが加わったカルテット。
カルテット名義の作品ではあるが4人が揃って演奏しているのは全体の半数以下で、残りはデュオかトリオ編成。

ユニットの中心人物となったのはサーマンらしいが、サウンドの核となっているのは間違いなくテリエ・リピダルのギター。
激しい歪みやロック的なアプローチが目立つが、それ一辺倒ではなく屈折した美意識を匂わせながらも変幻自在に場を牛耳っている。
その上で、カーリン・クローグが全体のストーリーテラーとなるような作品構成でもあり、ヴォイス全般として前衛的なアプローチも。

サーマンのサックスが適材適所の大活躍を見せていて、ヤン・ガルバレクを思わせる激しさと儚さが同居した琴線を震わす演奏。
彼の熱演があることで、全体に通底した北欧ジャズ特有のクールさとは裏腹に血が通った温かみも感じる。
4者4様の間合いの取り方で、ドラムレスであることを感じさせない懐の広さ。