高校生活編のラストです。
なお、本サイトは、異性愛だろうと同性愛だろうと「どーんとこい!」でして、ある一部の性的指向を称賛するものではありませんが(笑)、若干、作品選定において、バランスは欠いております。
誰かにとっては不適切なテーマ、扇情的な言葉や画像を含むかもしれません。ごめんなさいです🙏💦💦
いつものごとく、本格的なネタバレ&上記のご注意をご理解いただき、OKの方のみ、おすすみください。
『美しい彼』
~Utsukushii Kare~ 2021年(日本)全6話
原作:『美しい彼』 by 凪良ゆう
これは、第3話です。
前出部分を未読の方は、こちらからどうぞ
【3話の“ひら”】
“きよい”のコンテストに向けて、応援グッズを作るメンバー。
眼鏡女子のくらたちゃんも、“きよい”に(本気で)恋しているのだ、と悟る“ひら”
コンテストの結果は残念だった。
優勝できなかった“きよい”を追いかけて、一人、劇場の片隅で悔しそうに壁を殴る“きよい”を見てしまう。
冷えたジンジャーエールを持ったまま、声はかけられない。
ファミレスでは、“くらたちゃん”が“ひら”と同じテーブルに弾きだされてる。
ホント、このグループ、しょ~うもな!(呆)← つい、言いたくなってしまう。。
いつものメンバーの、上っ面だけの雰囲気に耐え切れず、マシンガンをぶっ放す妄想にかられる“ひら”
血しぶきを、黒い紙吹雪に見立ててっていうのもユニークですが、たとえ妄想と言えども、心に芽生えた“怒り”を“攻撃”に変えられる、“ひら”の秘めた激しさでしょうか。
一応、“くらたちゃん”を見逃してあげてるところは、憐憫なのか、慈悲なのか。
結局、席を外し、一人でいた“きよい”を放っておけず、
(コンテストの楽屋裏では、声を掛けられなかったけれど)今度は、近づいていく。
当然、気づいていた“きよい”から、またしても「ストーカー呼ばわり」されてしまう。
立ち去ろうとする“きよい”を、“ひら”は渾身の力で、引き留める
“ひら”は気づいていないかもしれないけれど、行動も信念も、こと“きよい”に関しては、決して、気弱でもなんでもない。
ここぞというとき、必死ですがりつく“ひら”は、「今、この手を離しちゃだめだ」というすさまじい意志をを見せ、そう簡単に、“きよい”を行かせたりしない。
「特別な存在」という自分の言葉を裏付けるかのように、思わず、「好きだ」と告白してしまう“ひら”。
自分がどう思われるかなんていうことよりも、「“きよい”は誰とも比べられない特別だ」ということを、自分が本気でそう思っているのだ、ということを伝えたいのが最優先。
それでも、「お前、まじでキモイな!」という“きよい”の拒絶の言葉は、破壊力も半端なくて、“ひら”のはじめての告白は、強い力で突き飛ばされた挙句、地面にねじ伏せられてしまった。。。
今、この時だけでも、“きよい”の辛さや負の感情を、我が身に落とし込めればいいのにね。
2学期を迎えた学校では、明らかに、“きよい”を取り巻く雰囲気が変わったことに気づいても、“きよい”に拒絶されたあの夜は続いたまま。
“きよい”を貶める発言が横行しても、即、自分が後釜に座れる存在じゃない“しろた”のイラつきと横暴さが際立つようになる。
たとえ、学校カーストの三角形の頂点はゆらめいても、
屈服することなく、理不尽さを毅然とはねつける“きよい”は、なにも変わらない。
トマトジュースを“きよい”の頭上にぶちまけ、クーデターの宣戦布告をした“しろた”や“みき”に向かい、心のライフルを掲げた“ひら”が、
怒りをたたえて動き出す。 ← ここでは、“ひら”の異様な叫び声だけで暗転し、実質な場面は映さないけどね。
騒ぎが終わったあと、“ひら”にタオルを手渡す担任。
「清居を助けようとしたんだな・・」
まぁ、8割は、穏便に済ませようとする表面的な言葉でしょうけど、この先生は先生なりに、この二人の関係性を、パシリをしてる・させてるだけじゃないって、そう捉えていたんだとしたら、満更でもないけどね。
「助ける?」
担任の言葉を心の中で、むしろ、助けられたのは自分だ、と否定する“ひら”
“きよい”がいるから、澱んだ空気の中でも、前を向こうと思う。
それが、恋の力。
空き教室で寝たふりをしていた“きよい”のそばに腰を下ろしてからの、
ピアノの旋律と、このカーテンが揺れるシーンの美しさ。
小さく「きよい・・・」と声をかけ、
つい、髪にふれようとして、 いつものごとく、「ストーカー!」と呼ばれる。
皮肉にも、「きよい・・・」「ストーカー!」というたったこれだけのやりとりで、いつもの二人に戻れるんだから、ホント、人間の関係というものは、表面的なことでは計れないものなのだなぁと思う。
石鹸で洗った髪がごわごわだ、という“きよい”に対し、そんなことない、と答える“ひら”
「触ればわかる」
さっき、触れようとしたことを気づかれていたのだろうか。
微かに触れたあとで、「綺麗だ」という言葉しかない。
「綺麗だ」
「また、それ・・・」
現実であって、現実ではないような、心象風景のようなトーン。
ふたりだけの空間。
ふたりだけの空気。
なにかにつけて、「ごめん」と謝ることを「やめろ!」と否定されたけど、きれいだ、とか、カメラで撮ることについては、これからもしていいみたいだよ(笑)
「これからは、毎日(カメラを)持ち歩く!」
「おかしなことに使うなよ」
「おかしなこと?」
「ヌいたり・・」
くるりと背をむけた“ひら”
さすがの“きよい”も、それはないだろうと思ってたのね(笑)
「清居くんでそんなことを・・・」
「やめろ! くん付けで呼ぶの・・・」
やめてほしいのはそっちだから、これからも、してもいいみたいだよ(笑)
改めて、自分の気持ちを詰めてこられ、ちょっと戸惑う“ひら”
いままで、誰にたいしても、恋愛感情はおろか、親しくなりたいとさえ思ったことがなかったのに、急に、天啓のごとく、現れた相手。
性別なども関係ない。
「特別」としか表現できない相手。
この心理を、ちゃんと、“きよい”にむけて、話すことが出来たのは、“ひら”にとって、意義深いこと。
引っ込められた手に 、目に見えて落胆した“ひら”に対して、再び、差し出される手。
また、揶揄われているのかもしれない、でも、それでもいい、と恭しく膝をつき、“きよい”の手の甲にキスする“ひら”の姿は、しもべじゃなくて、拝謁を許された騎士のよう。
それは、たぶん、“しろた”に歯向かって行ったときのあの瞬間の“ひら”に驚き、殉教者か英雄のように見えた誰かさんの気持ちが、この手に反映されてるから。
その後、“ひら”の家に時々、訪れるようになった“きよい”の真意を、まだ、“ひら”は気づかない。
関係性というものが、お互いに作用しあって作られるものだと、ちゃんと知っているのに、自分が“きよい”から影響を与えられることはあっても、その逆はありえない、と思い込んでいる。
ちょっと客観的になってみれば、この秘めやかで、急速的な結びつきの意味くらい、わかりそうなもんだけどね。
今の自分の状態は、恋愛を飛び越えて、信仰の境地だとまで思う“ひら”
尼僧のように、“きよい”に捧げたいって、ほんとに、いい感じで、ズレてくれる。
でも、実際、盲目的な「好き」は、信仰と紙一重。
濃密すぎて、感覚が麻痺してるんだね。
あっという間にかけぬけた秋・・・
コンテストの結果は振るわなかったものの、芸能関係の事務所に声を掛けられていたことを女子たちの盛り上がり具合で知った“ひら”
雑誌のモデルに起用されるなど、着実に、自分の進む道を歩き始めた“きよい”のもとに、また、取り巻きたちが戻ってきたのを実感する。
一見、元通りのように見えなくもない日常。
でも、“きよい”との、秘密の時間を経験してしまった“ひら”には、ただ、黙って見つめていられれば満足だった頃の耐性はとっくに失われ、しかも、「今後」は、自分と“きよい”を繋げていた「学校」という枷も無くなる。
卒業が分岐点。
点(自分)と点(“きよい”)は交わらずに終わりを告げるのだ、と、勝手に考えてしまっているうちに、早いもので、運命の卒業式がやってくる。
【3話の“きよい”】
どんなチャンスでも、貪欲にものにしたい“きよい”のギラギラした部分は、コンテストが間近に迫っても、普段通りに平静を装うことで、誰にしられることもない。
“しろた”が、メンバーの一人、地味目なくらたちゃんと、“ひら”をくっつけようと、ノリで盛り上げるのを、「はげしくどうでもいい。そんなことして楽しい?」と制する“きよい”
普段、やり過ごしてるようなことでも、“ひら”が絡むとね!🤭
思えば、“よしだ”の時もそうだったけど、ジンジャーエールの一言で、“ひら”の窮地を救っているようでいて、“きよい”も、自分の心のざわめきと、居心地の悪さを相殺している気がする。
コンテストの優勝を逃した夜、悔しくて、悔しくて、本当は、受け入れたくなくて・・・
プライドをかけて、平気なふりをしていても、チクチクと刺さる悪意や見下しの視線と共に過ごせるほど、図太いわけでもない。
でも、心のどこかで、“ひら”が来ることはわかっていたし、予想どおり、現れた“ひら”に対して、子供の頃から「テレビの中に入りたかった」という自分の想いを話すことすらできる。
そんなことができる相手は、“ひら”だけだって、ちゃんとわかってる。
だけど、“きよい”は“きよい”のままで、特別な存在だという“ひら”の言葉の意味が伝わらない。
“ひら”の「特別な存在」という言葉が、「特別になりそこねた」という現実を突き付けてくる。
どいつもこいつも・・と、背を向けようとする。
お前も、あいつらと一緒なのか!
いまは、どうあっても、“ひら”を受け入れられない。
「俺は、死ぬほど、“きよい”が好きだ!」
「俺は、死ぬほどお前が嫌いだ!」
“ひら”の言葉に呼応する“きよい”の返しは、“ひら”の言葉をちゃんと聞いているからだよね。
夏休み明け、自分を取り巻く変化はあからさますぎて、なに一つ心に響かない。
“しろた”の八つ当たりから、“ひら”を守る発言をする“きよい”
お前(しろた)が相手をしたいのは俺だろ。
器の小さい相手から、直接攻撃をされても、
おそらく、それ自体は、どうでもいいことだったけれど、
「この一般人が!」という言葉には、かすかに動揺したように、言葉に詰まる。
そこを見透かされていたことに対しては、内心、忸怩たるものがあるよね。
そして、なによりも、いつも透明人間になりたい、と言って、誰に対しても逆らわなかった“ひら”が、我が事のように、“しろた”に向かっていった姿を見て、変わらないものが、たった一つだけ、目の前にあることが再確認できて、見失わずにすんだ安堵。
思った通り、吸い寄せられるように、自分のもとにやって来た“ひら”
それが嬉しくて、いつも通りになりたくて、ちょっとからかったつもり。
冗談だったのに、1回だけ、とバカ正直に白状する“ひら”
“きよい”の“ひら”に対する「キモい!」は、単純な「キモい!」ではなくて、頭では肯定しがたい部分を、どこか肯定しちゃってる時を意味する言葉だから、ややこしい。
ここで、“ひら”に男が好きなのか、と聞いたあとで、「答えろよ」と逃さないように、前のめりになるのよね。
俺が好きなんだよな?
そして、その時の、“ひら”の答え「わからない」に対して、あからさまに、失望を示す“
でも、“ひら”の言葉には続きがあって・・・
わからないけど、他の男子は好きじゃない。女子も好きじゃない。綺麗だな、と思うのは、清居だけ。清居だけが特別。
この時の、“きよい”の顔がたまらなく好き。
あの晩は、わからなかった「特別」という言葉が、ちゃんと耳に届いたんだね。
誰だって、自分の足もとが崩れ去り、グラグラしているときに平気なはずがない。
ただ、“ひら”の嘘のない、まっすぐな存在に、かなりやられちゃってる顔が、一緒になって頷きたいくらい好き。
「キモっ・・・」
「そうだよね・・・」
どこかで、否定して欲しくなってる“きよい”の顔も好き。
おかしいな。
私のアンテナは、片想いをしてる側に反応するはずなのにな(笑)
いひひ😁
「キスしたいとか思ってんの?」
「・・・・・・・」
手を差し出され、吸い込まれるように、近づいちゃう素直な“ひら”に、直前で「させるか、バーカ」と手を引っこませる“きよい”
揶揄えば揶揄うほど、“ひら”の熱が上がる。
そして、想像以上に、内なる自分の熱も上がる。
こちら側からは、“ひら”から顔を背けているように見える・・・この時の“きよい”の純情は可愛くて、気高い。
本格的な秋・・・うっとりとした顔で、自分の写真をとりまくる“ひら”と一緒にいて、自分がこんなにリラックスできてるって気づいているのかな?
自分のことを好きだと言う男から、「尼になりたい」と言われた高校3年生男子の気持ち。。。
ごめん、それはさすがに、わからないや。。(笑)
だけど、この時はまだ、「卒業」という分岐点が、“ひら”との日々がどう変わるのか、なんて考える必要すらなかった。
なにも言わなくても、いつだって“ひら”は、自分を見つめているし、自分がなにを望んでいるのか、ちゃんとわかってるし、自分のそばにいたんだから。
【卒業式の、“ひら”と“きよい”】
卒業式を迎えた“きよい”に、将来のスターとばかりに、サインをせがむクラスメイトたち。(含む担任)
方や、教室の片隅で、密かに“カメジロウ”の卒業を祝ってあげる“ひら”
自分から、“しろた”や“みき”に声をかけ、仲直りのきっかけを作る男前ぶりを発揮。
くらたちゃんも、思い切って、正攻法で“きよい”に告白したり・・・高校最後の日は、やはり特別な日。
クラスのペット、亀のカメジロウは、結局、“ひら”が面倒みることになるのね。
お別れ会は、予定があると言って、一人先に、教室を出た“きよい”を
当然、追いかける“ひら”
<最後だから、この瞳に、胸に焼き付けたい>
“ひら”が、追いかけてくることなど、先刻ご承知の“きよい”
「来たな、ストーカー」
待ち望んでた響きしか、きこえてこないけどね。
でも、緊張してるんだよ。
「お前、俺になんか言うことないの?」
改めて聞かれても、その意図すらわからない“ひら”
“きよい”の意図をさぐろうとして、一生懸命考える。
「もういい」
さすがに、必死で、「ごめん」と呼び止める“ひら”の言葉を待つ時の、“きよい”の表情が好き。
どこか義務のように、無為に感じていた高校生活が終わりを告げる日。
早く、大人になりたい。
だけど、物理的に、“ひら”と離れる不安。
「俺・・・俺・・・」
そう、繰り返すだけの“ひら”をみて、手からバッグを滑り落とし、いきなり、“ひら”に口づける“きよい”
ここ、どう見ても、“きよい”の手の甲が主役(笑)
珍しいキスシーンだよね。
そして、いつものごとく、余韻もなく、突き飛ばされ、地面にしりもちをつく“ひら”
「・・・・へ?」
「じゃ、またな・・・」
なんでもないように去っていく“きよい”
ここで、当然、“きよい”にだって、こんなことをした感情も理由もあるわけだけど、ここでは、いさぎよくぶった切られます。
<お情けのようなキス。
これ以上、追いかけるな、と釘をさされたように感じた>
ひら~~~~~😭😭😭💦
“きよい”の「じゃ、またな」を簡単なおわかれの言葉だと解釈した“ひら”
思い出だけ残して、俺のキングは世界から消えた
別角度で見れば、自ら消した、とも言う。
そして、大学生になった“ひら”には、なにやら、友達(?!)も出来た様子で・・・
★第3話の雑感★
ここにきて、“ひら”の唯一の優位性が、はっきりしてきて、ちょっとおもしろい。
いつもとは、全く違う夏が通り過ぎ、空き教室での一コマを経て、ちょっぴり関係性が深まった秋の日の二人。
たしかに、表面的には、“ひら”のモノローグのとおりなのかもしれないけれど、実は、そうじゃない。
すでに、“ひら”は恋愛のゾーンに立っている。
別に、本当の、恋愛かどうかは関係ない。
「これを恋という」
自覚したもの勝ちというか、とにかく、見返りを要求しない邪念のなさは、怖いものなし。
身も心も、“きよい”だけが特別だ、と認めた姿は、揺るぎない。
視聴してる立場からすると、じゃあ、“きよい”のモノローグはどうなんだろうか、と気にならなくもない。
でも、“きよい”には、まだ、そのゾーンが見えていない。
入口すらわからない。
でも、“ひら”に圧倒されているうちに、開いちゃってたね。
自覚してからが面白いのだ(笑)
そう、これから・・・まさに、これからなのに~~~!!
ままならない。
不器用同士、ほんと、ままならない。
ほんの少し、うまく立ち回れたら、ほんの少しだけ、気の効いたことが言えたら・・・、でも、それは、本当の二人じゃないからね。
私も、ここまで“ひら”と“きよい”の1年間を追体験させてもらった感じだけど、当然、このままじゃ、全然、すっきりしてません(笑)
ということで、引き続き「高校卒業後のふたり」を追っていきたいと思います。