あなたは何かに失敗したと感じたとき、その「原因」を探ろうとすると思います。その一方で、失敗する「目的」を考えることは稀だと思います。「失敗する目的」と言われてもピンこないかもしれませんが、例えばこんな例を考えてみてください。
 毎日会社に遅刻する会社員がいたとします。本人は遅刻の「原因」を前の晩遅かったから、いつも身体の調子が悪いから、昔からの習慣だからともっともらしい「原因」を並べたります。しかしよくよくカウンセリングをしてみると、本人が会社に行きたくないという「目的」のために遅刻を繰返していたことがわかることがあります。本人にとってその目的は無意識化されます。従って目的に沿った遅刻という行動を繰返すにもかかわらず、もっともらしい「原因」のせいしていたため問題が解決しなかったのです。
 私も多くの方々に接して、この目的を明らかにすることで心のもやもやが癒されたケースを多々観てきました。何か自分の問題に直面したとき、原因ではなくその目的にフォーカスしてみることをおすすめします。
 劣等感について多くの方が考えているのは、自分に劣ったところがあって、それに悩んでいる状態という事です。こうした解釈は劣等感の本質を語っていません。
 「劣っている」というのは他者との比較で成り立ちます。しかし比較という観点で人を見た場合、必ずしも劣っている人が劣等感に悩まされているとは限らないからです。
 それでは劣等感の本質とは何でしょうか。それは劣等感というものが先にあって、それが人との比較や社会の中の位置づけをすることで本人が短所と思っていることに悩まされるという状態です。
 そしてその劣等感を生み出すのが自己肯定感の欠如、あるいは無力感です。自分が自分自身を肯定できるようになり、しかも自力で問題解決ができるという確信に至った時、無意味な人との比較による劣等感から解放されることでしょう。あなたはあなたでいいのです。あなたがあなたであることが素晴らしく、他に替え難い価値があるのです。自分を徹底的に好きになりましょう。これまで自分が劣等感と思えた事が、何ともいとおしく輝かしいものに見えてくることと思います。
 20代、30代の頃によく加藤諦三先生の書籍を読ませていただきました。言葉は正確ではないかと思いますが、神経症的な人は、今ここにいる実感が希薄だという意味の事が書かれていたように記憶しています。 人間は現在にしか生きられません。最近読んだアドラー心理学の本にも、うすぼんやりとした未来や過去を人が意識して生きる事の弊害が書かれていました。自分が今ここにいるということはとりもなおさず、過去に拘束されない自分であり、あらゆる可能性未来を選択できる自分がここにいるということです。先のアドラー心理学の本にも、同じ人に次に会った際には初対面の人に会うように既成概念を捨てることを説いています。
 今ここにいる、一瞬前の自分とは違う自分、過去に拘束されずあらゆる可能性宇宙を選択できると考えると勇気が湧いてきませんか?


自分に気づく心理学/PHP研究所
¥514
Amazon.co.jp
気が軽くなる生き方―重苦しくふさぎ込むな (知的生きかた文庫)/三笠書房
¥576
Amazon.co.jp
がんばっているのに愛されない人 ナルシシズムと依存心の心理学 (PHP新書)/PHP研究所
¥821
Amazon.co.jp