自己啓発書を読んだりや自己啓発セミナーを受講した人の何人が、自分の人生を思い通りに変革できたでしょうか。
 私の経験を申し上げますと、本を読んだりセミナーを受講した直後には、「なるほど!さあやるぞ。」と意気込むものの、数日か数週間で行き詰まる方がほとんどのようにお見受けします。
 その理由と対策をこれから何回に分けてお話しましょう。理由のひとつは無意識の強力な現状維持機能です。「なるほど!」と思った瞬間、その方の顕在意識が認識したものの、無意識は正反対の認識している可能性があります。
 従って、この無意識に「なるほど!」をインプットしない限りは、元の木阿弥ということになるのです。
 「現状維持を打破する その①」では、心の奥底にある潜在意識について触れました。今回は現象面に現れている、あなたの習慣について書かせていただきます。わかりやすいのは、アルコール依存、買い物依存など、やめたいのにやめられない癖です。アルコール中毒の患者さんの多くは、お酒を楽しみながら飲んでいるのではなく、吐きながら苦しみながらも飲まずにはいられない状況に苦しんでいます。苦しいのに手放せない、まさに現状維持の悪い例です。そこでアルコールを断とうという決断も大切なのですが、その一方で、何故アルコールに依存するのか心の叫びに耳を傾ける事も重要です。何か生きづらさがあるのではないか、寂しさに耐えられないのではないか、自分の心の本音に気づく事です。これはなかなか素人では難しいと思うので、依存症に陥っている人は専門医やカウンセラーに相談すべきでしょう。
 さてアルコール中毒ほどではないにしても、自分がやめたくてもやめらえない習慣の理由を見つめてみましょう。思い切ってやめてみるという決断もいいですが、その一方で何かに依存する自分の心の葛藤に気づく事も大切です。気づくところまで到達すれば、これをコントロールできる可能性は高いと言えます。
 先の「現状維持を打破する為のスイッチとブレーカー」で書かせていただいた、頑固な現状維持からどう脱するかです。人付き合いが苦手だから、上場企業の社長になるのを拒んでいるマインドがあなたの心の奥底に潜んでいたとします。
 人付き合いが苦手なのはどうしてでしょうか。かつて人からいじめられた経験がある人は、いじめられたトラウマにするかもしれません。あるいは元々の性格だと断定して、遺伝のせいにするかもしれません。しかし、こうした「原因」に着目していること自体が、あなたが変われない為の理由や言い訳を見つけている行為にすぎないのです。いじめられたトラウマがあったから人付き合いが下手になったのではなく、人付き合いをしたくないから、トラウマを原因に決めつけたのです。原因のせいにしているうちは解決は困難です。それよりも、あなたが人付き合いが苦手、人付き合いを避けたいと言っている本質についてフォーカスしてみましょう。
 例えば、人前に出ると尻込みして、言葉がスムーズに出ないとしましょう。何故それを恐れるのでしょうか。それは人の視線や評価が気になるからです。しかしちょっと待ってください。尻込みをして言葉がスムーズに出ないことを、周囲の人はあなたが思っているほどマイナスに捉えているのでしょうか。実は私自身も若い頃は大勢の前で話すのが苦手でした。ところが思い切って話をしてみると、確かにぎこちない話し方にはなったのですが、話が終わると大勢の聞き手は拍手喝采してくれました。何故なら、聞き手は私の話し方には興味がなく、私の話の内容に注目してくれたからです。このくらい、自分が自分に対するセルフイメージと人が自分に持つイメージは異なるのです。
 あなたは自分のセルフイメージについて、人からの評価を勝手に想像して決めつけていませんか。人付き合いが本質的に苦手な人がいるのではなく、人付き合いが苦手な他者評価を自分が勝手に作り出しているだけなのです。後援会が何回も開かれている著名人が、すべてぺらぺらと話をするわけではありません。口ごもって、ぼそぼそとした話し方をしている著名人もいます。しかしその人は、自分の話し方を低く評価していないのです。そんな話し方をする自分を受け入れているから、他者の評価が気にならないし、実際他者はその人の話し方を低くは評価しないわけです。
 何となく、からくりがわかりましたか?あなたがあなたに対して勝手に決めつけている自己評価、そして他の人がこんな風に自分を思っているのではないかという他者からの評価、ここから自由になることです。あなたは、あなたのままでいい。やっかいな現状維持機能から脱するためには、まずここから出発してみてください。