何年か前に、「空気をよめない」という言葉が流行した時期がありました。人生にはこの言葉があてはまる状況はよくあるものです。結婚式のスピーチで、おめでたい席にふさわしくない言葉を使うなど、マナーや相手への心遣いにおいては大切なことだと思います。

 その一方で、空気をよみすぎて肝心なことを言わないことの恐ろしさに気づいていただきたいと思います。明らかに間違っているのに、その場の雰囲気に呑まれて言えなかったという経験はどなたもお持ちではないかと思います。

 山本七平先生の名著「空気の研究」は”場の空気”という、とらえどころのなさそうな現象を見事に分析しています。ぜひご一読をおすすめします。それと共に、大切な場面で、言うべき事は言うという勇気を奮っていただければと思います。自分の主義主張のためと思うと場の空気に支配されて緊張するものです。そんな時は自分以外の誰かのためになると思うと、勇気が振るえるものです。



 
「空気」の研究 (文春文庫 (306‐3))/文藝春秋
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 私はこのところ羽田の国際線ターミナルが好きになりました。人の動線が整理されていてわかり易いのと、かつての羽田空港のように陸から海を見渡す位置にターミナルが戻ったからです。

 出発ロビーのショッピングエリアも好感が持てます。もう少し日本情緒を出すために凝った造りがほしかったとは思いますが、機能面を考えてまあまあの出来映えだと思います。

 難点と言えば、出国検査場から出た後の出発ゲートが左右に長い事。便数を考えれば、羽田に限った事ではないので仕方がないとは思いますが。

 それから今年の夏から出発ロビーにフライトシミュレーターの遊具が出来ました。私も小型機を操縦するので試してみましたが、飛行特性はなかなかの出来でした。


 エコノミークラスの狭い座席で長年旅を続けて来た人にとっては、最近のビジネスクラスのシートに移ったとたん、随分快適に感じられると思います。ところがしばらくたつと、だんだんとありがたみが薄れるものです。そしてついにファーストクラスを利用できるようになって満足したのもつかの間、それも当たり前になります。

 食事でお腹が一杯になりそれ以上食べられなくなるのとは異なり、物質的な欲望は放っておくと限界がありません。さらに次を求めたくなります。その空しさを知って現状に満足するのか、果てしない富を追求するのか。私はどちらも賛成ではありません。どちらかというと前者の方ですが、それなら一歩進めて、その快適さを他の人たちに分かち合う欲望が生まれることが次の世代の人類に必要だと思っています。
 
 食糧危機が叫ばれていますが、実のところは世界の人口をまかなえるだけの食糧は十分確保されているのです。要は分配のシステムがアンバランスなのです。資産の多くが、一部の富裕層によって独占されているのが現代です。主義主張を越えて、成功した人がその幸せを分かち合える世の中にになれば、世界のさまざまな問題は随分と改善されると思います。