エコノミークラスの狭い座席で長年旅を続けて来た人にとっては、最近のビジネスクラスのシートに移ったとたん、随分快適に感じられると思います。ところがしばらくたつと、だんだんとありがたみが薄れるものです。そしてついにファーストクラスを利用できるようになって満足したのもつかの間、それも当たり前になります。

 食事でお腹が一杯になりそれ以上食べられなくなるのとは異なり、物質的な欲望は放っておくと限界がありません。さらに次を求めたくなります。その空しさを知って現状に満足するのか、果てしない富を追求するのか。私はどちらも賛成ではありません。どちらかというと前者の方ですが、それなら一歩進めて、その快適さを他の人たちに分かち合う欲望が生まれることが次の世代の人類に必要だと思っています。
 
 食糧危機が叫ばれていますが、実のところは世界の人口をまかなえるだけの食糧は十分確保されているのです。要は分配のシステムがアンバランスなのです。資産の多くが、一部の富裕層によって独占されているのが現代です。主義主張を越えて、成功した人がその幸せを分かち合える世の中にになれば、世界のさまざまな問題は随分と改善されると思います。