📕「飯屋のせがれ、魔術師になる。」(異世界ファンタジー)
(「第4回一二三書房WEB小説大賞/コミカライズ賞(コミックポルカ)」受賞)
🌎️https://kakuyomu.jp/works/16816927863114551346
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📕「第684話 ステファノの余裕は一瞬で吹き飛んだ。」
🗒️ピクリとスールーの瞼がひきつった。
ステファノは差し出される指輪を受け取ろうと、自分の左手を伸ばした。
ジローが差し出す指輪がステファノの手に触れた瞬間、ジローのイドが指輪を通じてステファノに流れ込んできた。
直接接触を起点にしているため、|護身具《タリスマン》は働かない。ジローのイドはステファノの|魔視《まじ》脳を目指して奔流となって走った。
(|高周波化《オーバードライブ》!)
ステファノは自らのイドを最大限に高周波化し、ジローのイドを押し返した。「虎の眼」がジローのイドを高周波化していても、地力に勝るステファノのイドがすべてを飲み込み、押し流す。
(こうなることはわかっていたはずなのに、なぜ?)
直接肉体に触れても、ステファノのイドの守りは崩せない。「虎の眼」を使った攻防でそのことははっきりわかったはずではなかったか? ステファノにはその疑問を抱く余裕があった。
「どうしてこんな――」
「やめろ! ジロー!」
ハンニバルはジローの肩を掴みながら叫んだ。……
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お楽しみください。