ふと漱石の裏を読む。言葉の調子がどうも気になる。 | 「藍染 迅(超時空伝説研究所改め)」の部屋

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小説家ワナビーの「藍染 迅(あいぞめ じん)」です。

書籍化・商業化を目指し、各種コンテストに挑戦しながら、カクヨム、小説家になろう、エブリスタ、アルファポリスなどに作品を投稿しています。

代表作は異世界ファンタジー「「飯屋のせがれ、魔術師になる。」。

ひょいと、文章のひとくだりを思い出した。

 山路を登りながら、こう考えた。
 智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい。

夏目漱石、「草枕」の冒頭である。

まあわかるのだが、よく考えるとわからない気もする。

「智に働く」という言い方があるのか? 「情に掉さす」と普通に言うのか?
智に働くと、なぜ「角が立つ」のだ?

勝手に裏を読んでみた。
これは掛け言葉ではないのか?

「智」は「地」だろう。
「地に働く」とは、大地を耕すこと。耕せば土が起きて、角が立つ。

「かど」には「才」とあてる文字もある。才気、才能を表す。

よって、こう読める。

■理にしたがって行動すれば、自ずと才気が現れる。しかし、争いのもととなることが多い。

「情」は「瀞」だろう。「瀞」と書いて、「とろ」と読む。
流れがおだやかな、深いよどみという意味だ。

そんな所には土砂が堆積している。棹などさせば、抜けなくなる。
舟が流される道理である。

「地」に対して「水」の対句になっている。

■感情の世界に深入りすれば、抜き差しならなくなって流される。

そういうことじゃあないのかな。
そんな風に、はすっかいから名文を眺めて、わかった風な気持ちになった。

これはすべて想像の産物である。