「あ、これ言わなきゃ…」と思った瞬間から、
心はすでにフル回転。
どう伝えたら傷つけないか、
今日は機嫌が悪くなさそうか、
この前のミスと重ねて落ち込ませないか。
言葉を発する前に頭の中でシミュレーションを何周もしてしまう。
そして実際に伝えた後も相手の表情のわずかな変化が気になって、
しばらく引きずってしまう。
これHSS型HSPの方にはかなり「あるある」な感覚です。
HSPの特性のひとつに、
他者の感情や場の空気を細かく察知する力の高さがあります。
表情筋のわずかな動き、声のトーンの変化、返信までの間、
普通なら気づかないようなサインまで拾ってしまうんです。
これは共感力の高さの表れでもありますが、
同時に認知負荷がとても高い状態でもあります。
「言葉を選ぶ」というタスクに加えて、
「相手の反応を予測する」
「反応後にケアする」
という複数の処理を同時に行っているので、
脳のエネルギー消費量がそもそも人より多いんですね。
心理学には「接近-回避の葛藤」という概念があります。
ひとつの対象に対して「近づきたい」気持ちと
「避けたい」気持ちが同時に生まれる状態のことです。
HSSの「言うべきことは言いたい」と、
HSPの「傷つけたくない」がせめぎあっている状態です。
まさにこれが、HSS型HSPの中で起きていることだと思います。
HSSの気質からくる
「成長のためにはっきり伝えたい」「曖昧にせず前に進みたい」という接近欲求と、
HSPの気質からくる
「相手の心を守りたい」「傷つけて関係を壊したくない」という回避欲求。
このふたつが同じ場面で同時に発動するからこそ、
指摘という単純な行為に
通常より多くの心理的コストがかかってしまうんです。
このふたつは矛盾しているわけではないのですが、
同時に満たそうとするからこそ、
指摘ひとつに何倍ものエネルギーがかかってしまう。
「サクッと言えばいいのに」と自分でも思いつつ、
それができないのは性格の弱さではなく、
気質の設計上そうなっているだけなんです。
完璧に配慮した言葉選びを目指すより、
まずは「事実」「影響」「次の一歩」の3点だけを
シンプルに伝える型を決めておくのがおすすめです。
例えば、
「ここが違っていたよ」
「このままだとお客様が困っちゃうかも」
「次はこうしてみようか」
というような感情を挟まない伝え方の「テンプレート」を先に用意しておく。
感情面のケアは、伝えたあとの雑談やフォローで補えば十分です。
指摘の「事前準備」を減らしてみるのです。
指摘の場そのものに全部を詰め込もうとしなくて大丈夫。
あなたがそこまで気を配れること自体、
後輩にとってはすでに十分な安心材料になっているはずです。