「同時進行うまいよね」
「仕事できるタイプだよね」
そんなふうに言われることがあります。
実際複数のことを同時にこなすのはできる。
電話対応しながら別の作業。
人と話しながら周囲を見る。
全体の流れを把握しながら動く。
気配りもできる。
優先順位も考えられる。
だから周囲からは、
「マルチタスク得意な人」に見えやすいのです。
でも本人の本音は、
「できるけど、やりたくない。」
終わった後の脳の疲労感がすごい。
しかもその疲れ、身体というより、
脳が焼き切れそうな感じ。
頭が重い。
音を聞きたくない。
誰とも話したくない。
何も考えたくない。
HSS型HSPの人には、この感覚がかなり多い。
HSS型HSPの人って、
実は処理能力そのものは高い人も多いのです。
全体を見る力。
状況判断。
空気を読む力。
同時進行力。
だから職場では自然と回せる人になりやすいのです。
でもここで勘違いされやすい。
処理できることと、
疲れないことは別。
むしろHSP傾向のある人は、脳が処理している情報量が多い。
例えば仕事中でも作業だけしているわけじゃない。
周囲の会話。
人の足音。
視線。
空気感。
感情の変化。
誰が忙しそうか。
誰がイライラしているか。
そういう情報も同時に入ってくる。
HSPには、
『感覚処理感受性』
(Sensory Processing Sensitivity:SPS)
という特徴があると言われています。
これは、
刺激や情報を深く処理しやすい傾向のことをいいます。
つまりHSP傾向がある人は、
必要な情報だけを拾うが苦手。
だから脳は常に大量の情報を処理しているのです。
ここで関係しているのが、
『ワーキングメモリ』
と呼ばれる機能。
これは考えながら整理しながら動くための、
脳の作業スペースみたいなもの。
マルチタスク中はここをかなり使います。
例えば
作業Aをやりながら、
会話Bを聞いて、
周囲Cの状況も把握している。
しかもHSS型HSPの人は、
そこにさらに、感情情報まで入ってくる。
「この人ちょっと焦ってるな」
「空気ピリついてるな」
「今話しかけない方がいいかな」
つまり脳内では普通のマルチタスク以上の処理が起きています。
だから終わった後、脳疲労がものすごいんです。
ただ厄介なのがここ。
周囲から見るとちゃんとこなしている。
だから、「平気な人」と思われやすいんです。
結果、さらに仕事が集まる。
頼られる。
気を配る役になる。
調整役になる。
でも本人はかなり消耗している。
しかもHSS型HSPの人って、
その場ではアドレナリンで動けてしまうんです。
だから限界に気づくのが遅い。
そして後から急激にシャットダウンする。
何もしたくない。
動けない。
人と話したくない。
これサボりではなく、脳のオーバーヒート後の反動
だったりします。
HSS型HSPの人って、刺激が嫌いなわけではありません。
むしろ新しいことは好き。
好奇心も強い。
でも刺激を処理し続ける環境
にはかなり消耗します。
特に、
・常に話しかけられる
・音が多い
・人の出入りが激しい
・視線を感じる
・同時進行が多い
こういう環境だと脳が休まらない。
だから必要なのは「何もしないこと」より、
脳の入力を減らすこと。
静かな空間。
一人時間。
情報が少ない時間。
それが回復に直結するのです。
ここを誤解しやすい。
できるから続けられる。
できるから任される。
できるから期待される。
でも、得意と快適は別。
HSS型HSPの人は能力的にはこなせてしまう。
でもその裏で脳はかなりエネルギーを使っている。
だから「できるけど、疲れる」は矛盾ではないのです。
むしろたくさんの情報を同時に処理できる人ほど、
見えないところで脳を酷使していることもあるのです。
マルチタスクができる自分を否定しなくていい。
でも、疲れている自分もちゃんと本当。
HSS型HSPは、「高性能で繊細な脳」を持っている。
だからこそ動けることより、
どれだけ消耗しているかも
大切にしてあげる必要があるのかもしれません。