終わりじゃない
別れた後、やっぱり僕は美奈の部屋を訪れてしまった。
別れる前のような普通のメールのやりとりが復活して、普通に会う約束をした。
部屋着の彼女。
別れた日と同じ部屋の様子。
小さなテーブルの前の、いつも座っていたポジションに迷うことなく座る自分がいた。
彼女は終始、何かを確かめるように質問攻めだった。
どうしてまた来ようと思ったの?
あれからどんなことを考えたの?
僕は一通り、素直な気持ちを伝えた。
真剣に聞き入る彼女。
どうして今さら、僕の話を真剣に聞き入るのだろう。
彼女自ら、僕を放り出したのに。
そう思う傍らで僕は、彼女が別れた日からあまり変われていないことに気づく。
彼女は変わろうとしていない。
彼女は気持ちを引きずったままでいる。
そして、僕も彼女と同じ気持ちでいるかどうかを何度も確かめようとしているのだった。
気持ちは引きずっている。
でもよくある世間の関係のように、ずるずるとはなりたくはない。
これは彼女も僕も、おそらく同じ思いに違いない。
一通り話を終えると彼女は、
「もう、それで終わり?」
と念を押してきた。
まだ同じ場所にとどまっている彼女を抱き寄せるのは今しかない、と思った僕は、
「いや、終わりじゃない」
と言って、彼女を抱き寄せた。
彼女は抵抗することもなく、僕のされるがままになっていた。