前回の続きですが、次男坊の要請で、香港からの客を迎える事になり、さて道具組みをどうするか悩みました。

 一人は帰化しているとはいえ外国人、しかも茶の湯は初体験、季節は十一月末、この三題噺をどう解決するか。思案の末、寄付きの床は、和歌俳句の短冊のような字のものより、わかりやすく絵がいいだろうと考え、なるべく話の種になる方がいいかと、西陣織で紅葉山を織って描いた色紙を掛けることにしました。日本の工芸技術を見せようという気分。

 このところ、終活茶会は、現代式に禁煙と決めて、煙草盆は省略しているのですが、今回は、珍しがるだろうと思い、寄付きには煙草盆一式を用意。久しぶりに、少し黴臭い刻み煙草も持ち出します。不昧公好み煙草盆に帯山の龍文火入など。あちらの人は、やはり竜とか瓢箪の図柄を好むと、次男坊も言っていたので。

 汲み出しは「夜半鐘声到客船」の字の入った古染付。中身は、やはり日本らしいものがいいかと、香煎にせず、桜湯に。

 洋服では歩きにくいだろうから、露地はサンダルでとも考えましたが、やはり本式の方がいいだろうという意見が多数派で、結局露地草履に。本席の軸は、季節のものとも思いましたが、わかりやすく、読みやすい「喫茶去」を掛けることに。本来、「お茶を飲んでいらっしゃい」という意味だし、中国の禅僧(唐の趙州和尚)の言葉ですから、何かと説明もしやすいかという考え。

 炭道具は、香合は隅田川焼の都鳥を用意。東京のシンボル的鳥ですし、どうせ浅草には観光に行っているだろうから、話題を作りやすいかと。小間向きではないかもしれませんが、綺麗な方がいいだろうと、姫青鸞の羽箒に、南鐐の灰匙、菜籠炭斗などを用意。

 初座の準備も出来、露地も整い、孫が客を駅に迎えに出ることに。孫に「駅を出る時、電話をするように」と言い付け、電話が鳴ったら表門を開けて、門前に水を打とうとゆっくり構えていたら、定刻近くになっても音沙汰がない。遅刻かと思っていたら、電話が鳴り、孫が「すみません、電話するの忘ました、今、門の前にいます」。大慌てで、門を開けにゆくことになり、最初から躓く状態になりました。孫の失敗もさることながら、やはり茶事は油断なく、早め早めに諸事を準備すべきと、反省しきりです。

 続きは次回に。

    萍亭主