皆様は「ヒカゲノカズラ」というものをご存知でしょうか。

 私は、恥ずかしいですが、この歳になるまで、全くと言っていいほど、聞いたこともなく、見たこともない(或いは見ても気にも留めなかった)ものですが、縁起物の一種の観葉植物なのですね。それを娘が、どこからか頂戴してきました。「何だ、こりゃ」というと、平安時代の衛士の冠とか、舞楽の冠につけたりするらしいと聞かされ、そういえば絵などでそんな感じを見た気もします。なぜそんなものをというと、裏千家家元では、正月に、茶室咄々斎の脇床にはこれを飾るのだそうです。そして節分前夜まで、飾りっぱなしにするらしいのです。家元の初釜の写真など、気を入れて見たこともないので気がつきませんでしたが、あるいは写っているのかもしれません。何でも、寺方(大徳寺?)から例年贈られるものだというのですが、娘の言うことじゃ当てにならず、その内、京都の知人に聞いてみようと思います。飾ってくれと言われても、適当な脇床もないし、恐ろしく長いものをだし、仕方ないので、玄関に架けようということになりました。それでも、長い房が三つ四つあるのを束ね、御幣だのを結びつけさせるのは年寄りには無理、勝手にやれと言ったところ、娘は孫に言い付けて工作させました。どこで手に入れたのか写真を見ながら孫は適当に作りあげ、飾ったのがこの写真。

 これでいいのかどうか、どうも本当は、中央に稲束を結びつけているような気がするのですが、そんなものはないし、どうせ鵜の真似をするカラス、これでいいだろうということに。調べてみると、伏見の稲荷大社では、正月五日の大山祭で、御神酒と一緒にヒカゲノカズラを授与するものだとそうですし、上賀茂神社では、正月初の卯の日に作る卯杖というものに、これを結びつけ、祈祷して宮中に献上するそうで、京都の人には馴染みの深いものなのかもしれません。文化の違いか、我が家が無知なだけか。ともかくこれで、2月までは玄関に何も飾らずに済みそうです。

 上の孫がヒカゲノカズラを飾っていたら、下の孫が花を生けて持ってきたので、ついでに一緒に飾らせました。学校の部活で習っている小原流なんだそうです。

  萍亭主