久しぶりに出光美術館に行ってきました。「琳派のやきもの」展が開かれていて、券を入手したので、腰を上げました。
ここに来るのは何年ぶりやら。平日で、ガラガラでもないが、そう混んでいるわけでもなく、ゆっくり廻れます。「やきもの」とあるので、要するに尾形乾山展だろうと思ったのですが、屏風など絵画、書、漆器なども多く展示されていました。大抵の展覧会は、その様式の発祥から、後継まで、時代順に展示するのが普通ですが、今回は「詩と書画の陶芸」「王朝文学の情緒」「交響をなす琳派の陶画」「継承される琳派の美」など、テーマ別で(表現がちょっと大仰な気もしますが)、書画と陶器が陳列され、陶器の作者は、勿論、乾山がほとんどですが、時代順の陳列ではでないわけです。書画は、光悦、宗達、探幽、光琳、乾山などで、抱一はなく(編纂の書籍は展示がありましたが図録には未掲載)、あと、鈴木其一と深江芦舟。田野村竹田の「乾山作陶図」と渡辺始興の「五祖六祖図」も展示がありましたが、何故か図録には未掲載。陶器は、乾山以外は、野々村仁清が7点、仁阿弥道八が3点、猪八乾山、三浦乾也、乾峯、磁州窯、桃山時代の織部、志野が1点づつというところで、書画等全部ひっくるめて74点の展示。今まで見た品も結構多かったのですが、琳派の雰囲気に浸るには、まあまあだったかもしれません。私が初めて見た品で感動したのは「色絵定家詠十二ヶ月花鳥図角皿」十二枚で、表面に、その月の花と鳥の絵、裏面に定家のそれを詠じた和歌二首を色紙模様の下地に描いたもので、実に綺麗な筆致の、色彩もけばけばしくはないが侘びた華やかさで、いい構図に描かれた品。この他にも「色絵百人一首角皿」という、上の句と下の句を一枚づつに絵と共に描き、二枚一組で五組の品や、「色絵能画長角皿」という、謡曲十番に関連する画を表面に、謡の文の一節を裏面に書いた十枚の品なども初見で、素敵なもので、茶道具とは言いにくいのですが、欲しいなあと思わず感じる品。乾山作とされているが工房作かもしれないとされる「錆絵扇面皿」五枚も初見でしたが、向付には大きすぎ、やはり、乾山はハレの食器として作っていたのだろうな、商品の主力はこっちの方向だったのだろうと感じました。目の良い妻は、この器の立ち上がり部分の文様が粗雑だと感じたそうで、「やっぱり工房作は手を抜いてる」という感想を持ったそうです。
本体とは何も関係のない話題ですが、前述の「十二ヶ月花鳥角皿」で、私が今更ながら感じた事がありました。十二ヶ月の画題が、一月「柳と鶯」二月「桜と雉」三月「藤と雲雀」四月「卯の花と郭公」五月「櫨橘と水鶏」六月「常夏と鵜」七月「女郎花と鵲」八月「鹿鳴草と初雁」九月「薄と鶉」十月「残菊と鶴」十一月「枇杷と千鳥」十二月が「早梅と水鳥」となっているのです。つまり、これが昔の人の暦に合った季節感で、現代の陽暦のもとで、異常気象と自然破壊の中で生きている我々とは、大分感覚が違う、我々が四季に対する感受性を、昔の人の境地で感ずるのは、並大抵じゃないよな、という感想です。今更、つまらんことを書きました。
萍亭主
