大徳寺興臨院を出て、どこに行こうか、楽美術館でも行くかと思いましたが、移動が面倒だし、今日は大徳寺山内をぶらぶらするかと、隣の瑞峯院へ。

 この寺は、豊後の戦国大名大友宗麟の建立で、宗麟の法号が寺名になっています。山崎妙喜庵の国宝茶室待庵を写した茶室を作り、平成待庵と称しています。平成元年の竣工当時の公開を見に来た記憶がありますが、早いもので、あれから30年以上、久しぶりの訪問です。

 ここには、余慶庵という、表千家好みの六畳台目、次の間、八畳下座床、四畳半向切の席が一棟の中に纏まった茶室があり、月釜に使用されているようですが、残念ながら入口が固く閉ざされ、見学コースには入っていない。方丈裏の庭石を十字架形に置いた閑眠庭は、クリスチャンになった大友宗麟に因むといいいますが、その続きにある茶室、安勝軒は公開されていました。ここは、以前来た時は開けていなかったと思うので、初見参。表千家十二代惺斎宗左の好みで、三畳台目向切逆勝手の席。特徴的なのは、客座の三畳分が、一畳半の長い畳二枚を横に並べてあることです。床は台目幅の畳床、天井は躙口側は掛け込み、点前座上は落天井、残りは平天井の三段組。躙口と直角に二枚障子の貴人口があり、窓も大きく、明るい開放的感じの小間。大徳寺の数ある茶室の中で、逆勝手の席はここだけだそうで、何故そうしたか、意図はわかりませんが。手前の水屋風な三畳には、隅炉が切ってがるようですが、よくわからなかった。

 平成待庵は、長い廊下を辿って行った記憶があるのですが、どこがそこだか、入り口が見つからない。受付に聞いたら「公開してません」とのこと。残念。「予約すれば見学出来ます」という話ですが、わざわざ予約して見に来るなら、本歌の方へ、もう一度行く方がいいかな。

 余談ですが、ちょっと面白い経験をしました。寺に入ろうとした時、一人の外人女性に声を掛けられ「綺麗な寺に入りたいが、どこがいいか?」と英語で訊かれました。「大徳寺の中で?」と訊くと、そうだという。これは難問で、ビューティフルな寺と言われても、主観の問題です。私は語学はさっぱりダメなのですが、とりあえず、大徳寺は常時公開しているのは、瑞峯、龍源、大仙、高桐の四院だが、今、隣の寺が特別公開だから行ってみたら、と片言で教え、相手はスマホを操りながら立ち去りました。瑞峯院を見終わって出てくると、先ほどの女性がウロウロしています。興臨院に入りそびれたようなので、我々はこれから高桐院に行くが一緒に来るかというと、ついて来ました。南仏からの一人旅で、福岡、別府、東京と周り、京都に来たらしい。嵐山に行って、混雑ぶりにびっくりしたとか、お互い英語の片言なので、何とか通じながら、高桐院に行くと、なんとここは、いまだにコロナ対策で拝観中止とのこと。仕方ないので、大仙院に連れて行きました。素朴な石庭や、地味な方丈に満足したかどうか、方丈横の利休の逸話にも出てくる火灯窓や舟形石のある庭も、私の語学では説明出来ず、相手の満足度はわかりませんが、ともかく終わって、これから下鴨神社に行くという彼女をバス停まで送り、我々も北大路駅へ。しかし、スマホを操って、見知らぬ異国で何とか一人旅を続けるとは、今時の女性は行動的なもんです。ちなみに、彼女は、茶の湯に関しては知識はなさそうでしたが、何故観光目的地の一つに大徳寺を選んだのか、よくわかりません。

   萍亭主