お預け徳利で出すようなものは、名品であることが望ましいといいます。

 ある本には「二合くらいは入るようなものが一番いいが、客の酒量にもよる。複数本出しても良い」とありますが、徳利が林立するようじゃ、宴会じみてしまいそうですし、あまり大きいと、小間では邪魔でしょうし、やはり酒がメイン風に見えそう。かといって一合のお座敷徳利では、三から五人の客で分けあうにはシミったれた感じになります。なかなか難しい。しかも名品と言われても、そうそこらに転がっているわけではない。もともと民藝品的な香りの強い徳利ですから、他の器でもそうですけれど、茶席に入って、趣があって、しっくりするようなのを見つけるのはなかなか難しいといえます。昔から、人気があるのは唐津のようで、朝鮮唐津、斑唐津など名品が多いと聞きます。備前も火襷などが好まれて人気がありますし、信楽や伊賀に徳利の良いのがあれば、喜ばれるといいます。一時期は九谷の徳利に人気が集中したと聞きましたが、私は実物にお目にかかっていません。日本のどの窯でも、生活必需品として徳利は作られた筈ですが、それらは地方で使われはしても、茶席にまで到達することは、あまりなかったでしょう。余談ですが、近年こそ地酒ブームや地方料理の店、民藝酒場などが台頭し、徳利も民藝風に大きい品や、片口に酒を持ってくる店も増えましたけれど、以前上品?なところでは、瀬戸や京焼の磁器、くだけたところでは陶器の一合徳利が幅を利かし、二合徳利だと、首のやや長い貧乏徳利が多く、雅味が感じられるものは少なかったと思います。

 明治大正の数奇者の茶事を見ると、外国の品も目につきます。中国の祥瑞。これは発注品ですし、徳利として作られたものなのでしょう。綺麗なものとして、人気が高かったようです。青磁の徳利も出てきますが、これは何かの見立てでしょうか。オランダと呼ぶ西洋陶器も好まれたようですが、当然見立ての筈で、一輪挿しとか、薬とか調味料入れだったものでしょうか。特に人気があったのは、朝鮮の焼物で、粉引、三島、刷毛目、鶏龍山城などがあり、茶碗同様、茶席にはぴったりのものだったらしい。これらがもともと酒器だったのか、何かの見立てか、朝鮮文化に詳しくない私には想像つきませんが、韓国ドラマを垣間見たり、韓国料理店などの見聞だと、どうも酒器ではないような気もしてきます。

 何はともあれ、以上のような徳利の名品が我が家に存在するわけもなく、なんとなく集まった民藝徳利を使うことで済ませたこともありますが、どれもお預け徳利としてはピンときません。民藝色が強すぎるのでしょうか。皆様はどう思われますか。以下がその徳利です。

 左は備前保命酒の臍徳利。 右は鳥取の牛ノ戸焼。

 左は会津本郷焼。右は高知の内原野焼の舟徳利。

 オランダの見立ての真似に、こんなのはどうかと思いましたが、容量が小さすぎるようで使うのをためらったままです。マイセンの一輪挿しなのですが。

  どうも失礼しました。

      萍亭主