前回の続きですが、茶名披露茶会の薄茶は、亭主三人の中の最年少のOさんが、小間を使って担当されました。

 会が終わった後、私も妻と一緒に、一服ご馳走してくださるということで、席に参上しました。床飾りは、「三級浪高魚化龍」と、龍門の鯉の故事の句、ある種、定番ですが、茶名披露には相応しいと言えます。

 花は桃の花と妙蓮寺椿、花入は結婚祝いに師から贈られた銘「相生」の竹置き筒に、同じく茶友からお祝いに贈られた十三代田原陶兵衛作の萩焼結熨斗香合。

 Oさんは近年結婚されて、すぐお子さんに恵まれ、それでも出産間際まで茶の湯を楽しまれ、出産後もご家族の協力で茶名を取得されました。今回の茶会には、やはりお茶がご趣味のお母様もお客の一人になられています。使われた主茶碗は、備前の人間国宝山本陶秀の作。火襷が見事な逸品で、お父様が作家の陶房を訪ねて求められたものだそうです。その他の茶碗も、ご自分が初めて買われた品や、ご両親の収集品を使われました。茶杓は大徳寺五百十四世教道宗育作の銘「吉祥」。

  茶器は、故人のお祖父様が、東京美術倶楽部で求められたものだそうで、時代の唐木の棗。蓋が寸切になっており、立ち上がりには蒔絵が施され、渋いが実に洒落たいい仕事のもの。おそらく昭和の四、五十年代に買われたものでしょう。あの頃は、こういう気の利いた品が美術市に出たものですが、最近はさっぱりです。こうして、一家で楽しまれた品を集められると、まだ若い御亭主には渋すぎる感もありますが、その家の茶の佇まいが感じられ、調和して良いものです。

 釜は我が家の丸釜(佐々木彦兵衛作)をお貸しし、染付水指、高取建水などを取り合わされました。

 干菓子は、わざわざ亀屋伊織から取り寄せられ、お宅に古くから伝わるという、鎌倉彫の見事な花形の器に盛られました。

 熱い薄茶を頂戴して、ほっと一息。目出度い茶会の終わりでした。

  萍亭主