上野の東京芸術大学のキャンパスに、実に久しぶりに入り込みました。
昔は、校内で茶の湯文化学会が開かれたり、校内の美術館の公開展覧会に行ったり、多少は訪問の機会があったのですが、この十年以上訪れる機会はありませんでした。今回は展覧会ですが、今まで経験のないジャンル、大学と大学院修士課程の学生の「卒業修了作品展」です。何でそんな縁のなさそうなところに行ったかというと。修了生の中に、妻の知人がいたからなんですね。それが大学院彫刻科の伊勢崎寛太郎さん。岡山県の備前焼の窯元、人間国宝や県無形文化財などの作家を輩出している伊勢崎一族の一員で、茶道具製作で名高い伊勢崎満氏の孫、紳氏の次男にあたる方。茶の湯の基礎を学びたいということで、娘の縁で、我が家にお見えになったのです。将来、備前焼をなされる時のためでしょう。陶芸家が、学生時代には彫刻科に学ぶというのは、例えば楽焼の先々代覚入、先代直入が、ここの彫刻科出身というように、案外多いことです。寛太郎さんも既に一族の展覧会で、備前焼を出品されたこともあるようですが、今回は、彫刻科としての作品発表です。なかなか入れない展覧会のようですが、芸大の職員のKさんが予約して下さり、その御案内で校内へ。彫刻科棟の天井の高い広い教室の一室づつに、個人の作品が並べられ、巨大な作品も多く、素材も手法も様々ですが、存在感に圧倒されます。さて、寛太郎さんの作品は、次の四点。
焼成した土と金属を組み合わせて、日常の出来事の中からヒントを得て表現したもので、この作品に使った土は、現在の住居の南千住の土だそうです。
この土は、八王子の土で、木も八王子の自然のものとか。
同じく八王子の土で、友人とのひとときからヒントを得ての作品。
そして、下は、故郷岡山の素材を使って、数点の品を組み合わせて、
この巨大なシャベルは、実際の窯場で使う金属の窯道具を、備前焼の土で表現したもの。
石は東陶がトイレなどに使うセラミックの原料だそうです。各所の土の表情の異なりや、造形も面白く、将来の陶芸の片鱗を感じさせます。
妻は「寛太郎さんが茶道具を焼くようになったら、最初の作品は必ず買ってあげる」と大きなことを言っていますが、経済的、あるいは時間的に間に合うのかどうか。
萍亭主










