先回の続きですが、知人がマンションの中に作った茶室の開きのお招きに預かった会は、以下のようなものでした。

 寄付き代わりにされたダイニングの椅子席の壁には。大徳寺派雲林院住職の筆の「一期一会」の短冊が置かれ、本席は垂撥に扇面が飾られました。席主のお母様は、大日本茶道学会の茶の湯を学ばれていたということですが、そのご友人の茶人の書かれたものだそうです。「祝き事のつづく倖せ菊日和」という句で、朝、我が家を出る時、寒菊が咲き誇っていたのを思い出しました。めでたい席開きにふさわしい。

 花入は海外のお土産だそうで、花は綺麗な洋花ですが、名前が難しくて忘れました。正客を妻に任せて、のんびり次客にいると、つい、問答を聞き逃します。

 釜は佐藤清光の霰丸釜。半世紀ほど前の品です。

 亀屋万年堂の饅頭を頂き、点前座を見ると、妻が茶席開きに贈った水指が置かれ、茶筅飾りにされています。水指は、妻の妹が作ったステンドグラス製のもの。妻の妹は案外偉くて、今週、東大安田講堂で行われた「国際ガラス年記念ガラス造形展」の三十人の作家の内、ただ一人のステンドグラス作家で選ばれているんです。

 ステンドグラスからから、思い付かれて、席主は、クリスマスの趣向を組まれました。道理で花も洋花だったわけで、香合もボンボニエールを見立てた、クリスマス気分のものです。

 主茶碗は珍しい泉州堺の湊焼。津塩吉兵衛の作と言いますから、大正昭和のものでしょう。黒楽で、白く抜けた文様が仰ぎ見る十字架の見立て。実は、本当は筍の文様なんだそうですが、後で種明かしをされるまで、まったく十字架に見えました。替の黒織部は、樅木の気分ということで、これも確かにそう見えます。

 茶入が信楽で、たっぷりした感じで、上田直方でも高橋楽斎でもなさそうだがと思ったら、杉本貞光の作と聞いて納得。杉本らしい鷹揚な造形です。茶杓は大徳寺雲林院寛道宗信和尚作「西江水」、仕箙は花唐草段織。

 薄茶は、同行の若い知人が代点、親しい間柄の寄り合いなので。遠慮なく寛ぎます。干菓子の盆の蒔絵も、トナカイの代役のつもりと見えます。

 薄器は見立てで、下はガラス、蓋は軽い金属で、表面に幼いエンジェル(キューピッド?)が、いるようです。茶杓は、お母様の出身地新潟の茶人で宗徧流の六夢という方の作られた「ゆずり葉」の銘。今日開いた後は、この茶室は、お嬢さんの主催になるようです。

 

 薄茶碗は、内外、花を敷き詰めた、薩摩焼。クリスマスブーケというところでしょうか。

 薄茶の後、美濃吉の結構な点心と美味しいお酒を頂き、正午過ぎ、第二陣のお客が見えられるのと交代に退出。久しぶりに茶の湯の気分を味わいました。

   萍亭主