知人が新築されたマンションに茶室を造られたという事で、妻と若い知人と三人でお招きに預かりました。
知人は、本宅は軽井沢にあり、そちらにも茶室をお持ちですが、東京のマンションは、お嬢さんのお住まいで、東京に来られた時、宿泊に利用される程度、しかし、お嬢さんも茶の湯をおやりなので、稽古のためも兼ねて、茶室を作ろうと思い立たれたそうです。決して広いマンションでなく、普通にいう1LDKに当たる細長い格好なのですが、工夫の末、長い工事を経て完成されたとか。場所が我が家の次の駅の付近という距離なので、指定の午前10時に楽々参着。
玄関に入ると、すぐ茶室の入り口になっています。LDKのLの部分を茶室にされたわけで、玄関側とダイニング側の両面に矩折で障子口を作り、玄関側は一枚片引きで客口、ダイニング側は引き違いの二枚障子で点前口、障子は、太鼓襖風に、中の骨が透けて見えるが、両面とも桟なしという工夫で、腰板もなく背が高い分だけ、明るく感じ、圧迫感はありません。一階なので、炉を切るにも支障はなく、床を上げる事もしないで済んだわけで、茶室に入るのに段差がないのは結構な事です。中の壁は。コンクリートの打ち放しで、これがモダンな感じを生んで、意外に良い感触です。床はなく壁床で、今回は垂撥に扇面を掛けられました。茶室の広さは、いわゆる二畳中板で、点前畳、客畳とも、幅は京畳並みの広さがあり、ゆったり感がある。ただ、長さは京畳より多少短いようですが、客三人はゆったりです。変わっているのは、中板部分が、板でなく、その寸法の畳(変形畳)になっている事です。何でも、最初は板で作られたが、その板が気に入らず、探してもいい一枚板はなかなかないので(そうです。今、赤松などいい材で、半板くらいならともかく、中板の幅、長さの一枚板を見つけるのは、至難のことだと思います)、そこで、えいっと畳になさったそうです。これは表現としては「二畳中畳の席」というべきかもしれません。初めて見る形態ですが、案外違和感がなく、すっと溶け込めました。その中畳の先に、真塗りの小板を置いて、置き床風に見せ、花入を置き、垂撥の下には木地のコーナー棚を置いて。脇床風にして香合を飾るなど、様々な工夫が楽しく感じられます。客座の後ろは、畳付きまでのガラス窓になっているので、採光は十分。言えば和モダンな空間、令和の茶室の一つのあり方と言えるでしょう。下は、玄関(客口)から移した茶室です。
茶会の模様は、次回に。
萍亭主
