先回の続きですが、何かを記念して行うタイトル付きの茶事・茶会には、まだいろいろ種類があります。

 専門の茶家、家元クラスでないとやらないのが、襲名披露の茶会。家元を継いだとか、若宗匠の格式を得た、つまり正式の後継者になったとかを披露するわけです。昔は大寄せというものはありませんから、利休遠忌なども同じですが、何日も続けて茶事をやり、関係者を招くわけで、それはそれで大変でしょうが、今は大きい流儀だと、京都と東京、或いは所縁の地で、大寄せを複数日行うという、これまた大変な状態になります。私は、そういう茶会に招かれるような身分じゃないので、経験がなく分かりませんが、それこそ流儀伝来の名器が溢れる茶会になるのでしょう。例えば松尾流では「楽只三器」と呼ばれる、同名の軸、花入、茶杓は、家元襲名の茶会の時にしか使わないと聞きます。

 専門の茶家でなくともあり得るのが、茶名披露の茶会。茶名(宗名)を頂き、一人前の茶人になったということで、その披露として、江戸の昔は、茶事を催し、同門などの関係者を招くというのが、当たり前のように行われたようですが、現在は茶名も大分安く(?)なって来ていて、茶事までやるのは稀なようです。それでも、稽古場でとか、身内でとか、略式でも何らかの形で茶会を開き、許状を頂く許状式と同時に行うというのが、どうやら一般的なようです。その時に、茶名をとった記念に、贈られたか買ったかの道具を披露することも多い筈です。茶名をとったばかりでは、現代ではまだ駆け出しの一人前ですから、披露に公開の茶会(例えば大寄せの席持ち)をするというのは、まず聞いた事はありませんが、大寄せで「この人は茶名を取りましたので記念に点前をさせます」と席主の挨拶があったことがありました。何だか変な気がしたものです。現在、流儀により、種々の段階の地位があり、教授とかそういう位に就て行くので、その就任を祝っての会も、当然催されるのでしようが、殆どは身内でしか催されないようです。一度、大寄せで「名誉師範拝受記念」と銘打った席に入ったことがありましたが。

 同じく、専門の茶家でなくともあるのが、新席披露の会。茶室を作った記念に招く茶事・茶会です。うるさくいえば、正午の茶事をするべきだそうですが、それでは何日もやることになり大変ですから、略した形式で、大寄せ式でやるのが、昭和以降のやり方のようです。席開きとも呼ぶのですが、まさに一回限りの晴れのことになるわけで、故実では、床に必ず、炭斗飾りをするのだそうです。初釜でやるのと同じですが、新しきを祝うという意味だそうで、初釜も新年を祝うということでするのだとか。祝意のある道具を使うのは勿論だが、何か新品を使うのも新しさを引き立ててよいとされるそうです。席開きの時は、客は水屋拝見を願うのが礼儀だそうで、主人も水屋だけでなく、もし全部が新築なら、邸宅全部を披露するのが例だそうです。新席披露は、私は2回ほど招かれた経験がありますが、実は、明後日、知人の席開きに招かれており、楽しみにしているところです。

 続きは次回に。

   萍亭主