最近、知人が茶事を計画し、準備を始めた時の話です。

 点前道具はあるのだが、茶筅は新調しなければと、某大手販売店に発注したら、「奈良から取り寄せますのでお待ちを」と言われ、「え、今までと違う」と驚きました。点前道具でも必需品で、安価でもある茶筅は、必ず在庫があった筈なのに、と。理由はこうなんだそうです。その東京の店は、ビルに入っているのですが、気密性が高く、乾燥度が高い、特に冬は一層です。竹の製品は、乾燥により割れてしまう危険性があるんですね。古い竹の花入など、時の経過で割れてしまっても、由緒ある花入なら、鎹(かすがい)で留めるか、漆で継ぐなんてこともしますが、茶筅はそんなことは出来ない。割れてしまえば廃品です。ビルの中の倉庫室に長期保管して置いたら、その危険性大です。以前は、そんなことはなかったが、現在は、コロナ禍で、茶会が行われず、稽古場も休みが多く、新しい茶筅の需要が激減してしまった。以前なら、置いてあってもすぐ売れたものが、在庫が捌けないままになったら、破損してしまう。それで、この事態なのですね。この話を聞いて、ああ、一昨年から去年夏にかけてよりは、いくらか茶の湯の世界は持ち直しているように思っていたが、まだまだなんだなと痛感しました。

  萍亭主