茶室というものは、不思議なものだと思います。
畳の大きさと枚数と敷き方の組み合わせで基本が構成されるわけですが、考えてみると、その基本形は、滅茶苦茶沢山あるわけでもない。例えば、二畳や四畳半は、どうやったて、畳の敷き方は一種類です。三畳は、躙口のと床との関連で敷き方も違い深三畳と平三畳に区別されますが、その二種類だけです。何を言いたいかというと、大きさは決まってしまっていて、畳の敷き方、炉の切り方も種類は決まっている、じゃ、どこで違ってくるかというと、床、窓、口(点前・躙・貴人・給仕)などの様式や大きさや位置、数、それに天井の張り方や高低、壁の塗り方や色、床柱や中柱の材の違いなどで、感じ方はまるで違ってくる筈です。そういう違いに、屋根の葺き方、独立しているか、主屋に接続しているか、露地の様子、建築屋さん的に素材の違いまで追求すれば、同じ茶室は絶対にありえないということになりそうです。ですから、単純に写しと言っても、そこはちゃんと見極めて鑑賞しなければならない、言うは易くですけれども。
四畳半の茶室というのは、侘茶の基本であり、珠光が、方丈から発想したという伝説などもあり、武野紹鴎が四畳半を好み、利休が大成させた、その伝統を継いだのが裏千家の又隠だと言われます。中村昌生博士の説によれば、又隠の写しは、非常に多く作られてきたとされます。しかし、そのままの写しは少ない、天井も低く、躙口と、太鼓襖一本の茶道口という、四畳半という広がりはあっても、二畳と変わらない暗さ、求道的な厳しさを持つ本歌を、写しを作る人たちは、程よく緩めたいという意識を抱き、躙口を二枚障子に変えるとか、貴人口を付け足すとか、茶道口を引き違いの二枚襖にするとか、工夫を凝らした。なかでも、仙洞御所にある又新亭は、外観も刀掛けが失われている他、全く同じで、内部も天井の低さからなにから忠実に写している、ただ一つ、客座の背後に円窓を設けている、この一つの違いだけで「開放感だけでなく、室内の装飾に別の情趣を添え、単なる写しの域を超えた、新しい茶室として再生している」とされています。たった一つの変化で、全体の印象が変わる、茶室の不思議なところです。名席の基本を写しながら、自己の工夫で少しでも新味を出す、その辺が、茶室を作る時の醍醐味なのかもしれません。茶の湯道楽の行き着くところは、茶室を建てる事だと、誰かの言にあったと思います。
明日はブログを休みます。
萍亭主