お稽古場は、ひっそり再開している所も多いと思いますが、茶会、茶事、講演、展覧などは、やっぱり、まだまだ数が減ったまま、かっての面影は取り戻してはいないのではと思います。

 茶の湯に接する機会の減少、それで皆さん、結構茶の湯に飢えていて、その結果、施行されているカルチュア系の稽古茶事や、茶会、見学旅行などが、普通の年に比べ、案外、満員の盛況なんだと聞きました。もともと、昨日も書いた通り、茶の湯の本流にいる茶家ではないと自覚している、情報に疎い環境ですから、「そんなこと常識」と、皆様に笑われるかもしれませんが、このご時世に「そんなものなのか」と、私などは驚くわけです。私も以前は、カルチュアー系の講座の授業を聞いたり、講演を聞くことは、多少は経験しているのですが、ただ、稽古茶事や茶会に行った経験がありません。元来、団体行動が苦手な方で、いわゆるツアー、見学旅行も、故中村利則先生と行く京の茶室巡り(これは実に有益な旅でした)と、九州の窯元巡りの旅を経験したくらいで、両方とも茶の湯系カルチュアー教室の主催ではなく、新聞社などの企画です。そういえば、昔、JCB の企画で、新年、京都に行き、速水流家元の初釜に参加するという企画がありました。速水流家元の茶室、滌源居と清冲軒は、非公開ですし、この際、是非見たい、その頃は速水流のお茶に出会ったこともなく(後年、東京の大寄せで2回、入席出来ましたが)、好奇心旺盛だった頃でもあり、申し込みをしたのですが、参加者が集まらず、催行中止になり、ひどくがっかりしたことがあります。

 さて、7月の初めでしたか、たまたま、淡交社のカルチュアーセンターの秋のパンフレットを見る機会がありました。物珍しく読んでいたら、茶会の催しが結構掲載されています。妙心寺退蔵院、仁和寺、大徳寺聚光院などの茶室を使用した(あるいは見学しながら)、点心とお茶を頂くというもの、その中に、彦根の井伊直弼の埋れ木の舎を使う茶会がありました。以前、見学したことがあり、この茶室でお茶を味わってみたいなと思ったものです。往復の足代、泊まり賃も加えると結構な費用ですが、このところ何処にも行っていないし、9月にはコロナも終わるかもしれないし、思い切って申し込むかと、手続きしました。そしたら、何と、もう満杯。え、パンフレットの発行から、まだ一週間経っていない、一席10名とはいえ、二日間で計10席、百人分の定員で、高額な茶会なのに、もう?「お金と暇のある人って意外に多いんだ」と、思いましたが、関係者に聞くと、どの茶会も、あっという間に埋まるらしく、皆さん、それだけ飢えているのだと。考えてみれば、日頃、そういう事を考えない私が、申し込もうかと思うのも、私自身も知らず知らずに茶に飢えているのでしょうか。

 9月一杯、緊急事態宣言が延長になり、彦根の茶会が開催されるかどうか知りませんが、早く、茶の湯に飽きる時世に戻ればいいなと願うばかりです。

  萍亭主