文化庁の茶道に対するアンケートについて書いている途中ですが、ちと寄り道を。

 昨日の夜9時から、テレビ朝日で「芸能人常識チエック」という番組を見ました。普段見ない番組なのですが、たまたまスポット予告で、茶の湯に関することをやるらしいので、ちょっと見てみたのです。お笑い芸人が、いろいろなことに挑戦して、その行動が、常識に添う正しいものかどうか、チエックするという番組。今回のテーマの一つが、薄茶を飲むということ。三人一組で正客、次客、末客として、三組が挑戦するというのです。躙口を入るところから始まるのですが、もちろん、その前にプロの茶人たちが、お手本を視聴者に示す映像があるのですけれど、まず、茶室が変。八畳間なのに、貴人口もなく、躙口が付いている。普通より大きいように見えます。こんな変な茶室、ありえない。どこにある茶室かな、変だと思ったら、やっぱりスタジオ内に建てられたセットでした。撮影の都合で広くしたんでしょうが、京間の四畳半でも良かったろうに、あれじゃ、茶の湯を知らない人が、茶室ってこんなもんと思いそう。そして、躙口を入り、床を拝見、干菓子を取り回し、薄茶を飲むという過程をプロがやる映像に、ナレーションがかぶるのですが、薄茶を飲むところで「お茶は三口半で飲みます」とナレーション。ああ、またかと思いましたね。この手の間違いは実によくあるんですが、これ、濃茶を飲むときに言われる言葉で、それも実は目安としていう、濃茶一椀を何人かで飲み回すとき、正確に言えば、人数分の一を飲めということを、目安として言う言葉ですが、いわば俗諺で、流儀としてこう教えているところは少ないんじゃないかと思います。しかし結構、世間に広がっている言葉で、これが濃茶より出会いやすい薄茶に転用されがちなんです。その後の芸人の挑戦でも「三口半で飲んでませんね」などナレーションが入り、テレビでこうやられると、ますます、この間違いは広がり、薄茶は何口で飲んでも良いという常識が、通用しにくくなりそうです。芸人たちの挑戦は、笑いをとるためのヤラセもあるのでしょうが、躙口を潜るのに、ひどく不自然にやったり、菓子を無理に頬ばったり、極端なのは、扇子で茶碗を冷ますようにあおいでから飲んだりと、二組は非常識と落第、最後の組の正客梅沢富美男が、席入、床拝見も無難にこなして飲み終わり、一人、「完璧、常識あり」となるのですが、気になったのは、着座して、菓子を食べ茶を飲む間、扇子がずっと膝前正面に置かれていて、茶碗を取るのも邪魔くさそう、それと、大きな腕時計をしたままなのが気になりました。茶席に入るときは時計、指輪、装身具は外すというのを、どの流儀でもまず教えられると思いますが、梅沢を「完璧、完璧」と持ち上げるのもいいけれど、あれが茶の湯の常識と思われるのも困ることです。素人に常識を教えるつもりが非常識になりかねない、などと気にするのは、テレビ相手に無駄なことでしょうけれど。

 萍亭主