文化庁のアンケート、「茶道を次世代に伝えていく上で、守り続けて行く必要があると考えられる要素」、その中で一番得票率が高かったのは、「茶事・茶会の実践」ですが、じゃ、何故、それを大事と思うのか理由を述べなさい、という設問の答。

 私が作文しろと言われたら「だって、茶の湯というのは、これをやることでしょうが!これがなくなりゃ茶道がなくなると同じだもん」と、理論的でなく答えるでしょうが、報告書のまとめを読むと「茶道は『もてなしの文化』といわれるように、亭主が心を尽くし、おいしいお茶を点てて客をもてなすことを眼目としており、稽古は茶事、茶会の実践のために行われる。一期一会とか一座建立という言葉があるように、時間や場所を共有することによって、人を想う心や交流の喜びが生まれ、また、そのような実践によって、季節感や教養、人とのふれあいの大切さ等を知ることができる。更に、茶事・茶会は誰もが参加できる行事であり、参加を通じて茶道を知らしめる機会となっている」このように、茶事・茶会の実践によって茶道全体の姿を捉えることが出来るため重要だという回答が多かったそうですが、いやあ、頭のいい人たちが書くと、こういう風に書くんですね。

 では、その現状は?というと「月毎、或いは季節毎の定期的な開催に取り組んでいたり、地域行事として開催されていたりする」と報告されていますが、昨年は勿論例外でしょう。アンケートは直近3年間の状態ということなので。ここで気付くのは、設問は茶事・茶会と表記してありますが、実際は茶会(大寄せ)だけの答でしょう。アンケート対象が団体なので、団体主催の茶事はまず、考えられないからです。茶事は個人主催というのが、善悪はともあれ、現状でしょう。そして茶会の現状も、会場の制約(畳のある空間、炭の使える空間の減少)、指導者の高齢化、参加人員の減少、参加費の負担増、指導者の経験不足、道具を集めることの困難さなど、種々の要因で、茶会の実践が困難になってきていることも報告されているとあります。これ、私も、皆さんも聞いたことがあるような問題ばかりだと思いますね。

 では、今後、実践を継承するために、どんな取り組みが必要かという問いに「茶会は重要な実践の場であるため、規模を縮小しても継続すること」「中身のある実践がおこなわれるようあまり多人数にしすぎないこと」という指摘があったということは、大寄せ茶会からの脱却を目指せという提案でしょうか。「(開催)回数を維持、または増やすようにしてゆくことの必要性」を指摘する意見もあったそうですが、それはそうでしょうけれど、実際にどう取り組めばこうなるのか。「参加者を募り、一般に裾野を広げることによって、茶道への理解を広げるため、さまざまな団体や機関と連携しながら、気軽に参加できるような一般向けの大寄せ茶会の実施なども重要」という意見もあったそうですが、これも具体例を示してもらわないと、どういうイメージか、私などにはわかりません。「茶会の開催は負担が大きいから、流派内の連携協力体制を充実させ合同の開催を」望む意見や、「若い世代にも亭主(席主)になる機会を与えるなどの取組も必要」という指摘もあったといいますが、これは、その団体固有の問題なのかも知れません。某団体では、茶会をしようとすると、上層部から、道具組など厳しいチエックが入り、若い人には席が持ちにくいとか、年功序列が厳しく順番が回ってこないなどの噂や、逆に席を持てるような力のある先生が減って、主催者が困っているなどの噂も耳にしますが。いずれにせよ、今後の取り組みとして、ごもっともではあるが、実効手段としての取組はどうするのかねえという疑問が残ります。

 個人的には、私は、これからは茶会でなく茶事の時代じゃないかと想うのですが、それも実際にはいろいろとネックのあることでしょう。団体としても、大寄せ茶会なしで済まされるものでもなし、これからは人数制限とか、予約制とか、大寄せというより小寄せに近い形態が模索されるのでは。また、ある意味、肩肘張らずに開ける茶会が増える方がいいのか、中身の濃い茶会を目指すべきか、針路をはっきりさせるか、両立で行くのか、考え所なのではと思っています。

  萍亭主