コロナ禍の中、茶の湯を業とする家が大変なのは、いうまでもありませんが、茶の湯にまつわる様々な職種のお店も大変なようです。

 どの職種が一番大変かねえという話題が身内のおしゃべりで出ました。

 貸し茶室業が一番じゃないか、何しろ茶会がさっぱりなくなったから。もっともと思いますが、貸し茶室専門は意外に少なく、美術館、寺社、料亭など本業をお持ちになっている所が多いので、何とかなるのじゃないか?(勝手を言ってすみません、以下同様)。茶会がないと、お茶屋さん、和菓子屋さん、お弁当屋さんも困る。当然だとは思いますが、まあ稽古場は各流始動し始めているようですすし、お茶屋さんの販売で、抹茶の占める量はどれくらいあるか知りませんが、それが全部ではないでしょうし、お弁当屋さんもテークアウト流行の昨今、他に販路も広がるのじゃないか。干菓子や茶菓子専門のお店は大変でしょうけれど、菓子は日常のおやつにも必要、和菓子好きの方も結構多いし。炭屋さんは、茶会の減少よりも、稽古場への電熱器の進出増加が問題でしょう。茶の湯の衰退は呉服屋さんに影響するという声も出ましたが、それはない、という声が多数を占めました、もともと低空飛行の状態だし(失礼!)。茶の湯関係のカルチュア教室も、折角立てたプランが催行不能、中止に追い込まれて苦慮する向きもあるとか。しかし、これも大概はバックに家元などがついているので、最後はどうにかなるのでしょう。

 結局、茶道具屋さんが一番、困ってるんじゃないかという声が残りました。消耗品の新しい道具、例えば、茶筅、茶巾、懐紙や稽古用の道具は、稽古が行われ始めた昨今は需要があるでしょうが、茶会に用いる道具、特に古い道具など、需要がないだろうと。そこで、東京の懇意な道具屋さんに電話してみました。まず業界の近況を伺うと、「相変わらず火が消えたような状況ですよ」との答え。東京美術倶楽部で、年二回行われる正札市も七月は中止、最初は十月に延期の筈も、それも中止。十二月もやるかどうか。あれで稼いでいる道具屋さんもいるので、やらないわけにもゆくまいが、さてさて?とのこと。業者間のセリの会は復活したそうですが、なんでも何かやり方が少し変わったとかで「どうも馴染めない」とのこと、「面白い道具がさっぱり出なくて、私もやる気がなくなってねえ」と溜息です。今年の夏は二ヶ月、避暑に行っていたという、目利きのこの人は、他に収入もあり、道具屋稼業に専念しなくてもいい身分なのですが。「上方や中京でもあんまり状況は変わらないと思いますよ。何しろ、お茶会がなくちゃ、お道具を買う方もおられませんやね」という言葉がむすびとなり、私も「そうでしょうね」と相槌は打ったのですが、ふと、ほんとにそうかな、と考えました。道具は茶会があるから、必要になるのか、つまり、欲しくなるのか?ちょっと考えてみたい気なりました。続きは次回に。

   萍亭主