箱書の話中ですが、この前の日曜日に、大寄せ茶会に行きました。面白かったので、ちょっとご報告を。
表千家のまもなく米寿を迎えられる先生のお招きで、高田馬場の茶道会館に入ったのが9時前。四席全部を周り、点心も頂いて門を出たのが正午少し過ぎ、これ、あまり記憶にない速さです。キャンセルが出たとかで、二席目にすんなり入れたのが良かったらしいが、全体の客人数が、恐らく180人位だろうというのも、この結果に繋がったようです。
お招き頂いた先生の席は、濃茶で八畳入側付きの山茶屋、床は紺地金泥法華経譬喩品二行、古筆研究家の福田行雄先生の極め箱で、戸隠神社に伝わり、戸隠切というそうで、席主の先生のご親友の逝去を偲んでの追善趣向。花は天上界を表す九界草、花入は古銅、香合は木製の笙、笙は形も音も天界の鳳凰に似るとか。点前座の金銀切箔風炉先は、床の極めと同じ福田先生の作、その福田先生が正客なので、経験豊かで話し上手の席主と話題が尽きず、席中はなごやか。 釜は大西の真形で即中斎箱、風炉は二代寒雉、水指がどっしりした寸胴形の古信楽。茶碗が先生ご秘蔵の左入の黒、以前にも拝見したことがある左入らしい温和なもので、覚々斎箱、碌々斎外箱の大物。替茶碗は弘入の黄楽で、色は橘を、高台の形が桜を表し、大正天皇の御大典記念で造られたもので、勿論、令和改元に因んでとのご挨拶。茶入は肩に擂茶がある円座の古高取、茶杓は樋が深く二つ節の銘清風で惺斎作。薯蕷饅頭と清昔という柳桜園のお茶を頂き、米寿茶会へのご招待をお願いして退席。
異色だったのは、表千家不白流宗拙派の席、私はこの派の名は初耳で、当然初見ですが、広間に立礼式で、点前座は中央に銀瓶を載せた卓、それを中心に直角に左右二つの点前用卓があり、二人同時に点前をする、所謂鏡点前、これは都千家など不白系にあるやり方で、二度ほど見たこともありますが、並列や向い合わせでない、この形は初めて見ます。しかも茶箱点前。しかし、それより驚いたのは、一間床に釣り、掛け、置きと花入が沢山並び、花寄せの趣向、20人ほどの客の整理番号奇数の人が花を入れろという席主の説明です。奇数番号の人には百人一首の取り札が配られ、席主の隣のご婦人が朗々と歌を詠みあげ、当たった人は下の句を唱和して、あたり順に花を生けに行くという、何とものんびりした趣向。大寄せというと回転を早くしようと主側は急ぎ足になり、客もつられてせかせかするものですが、それを忘れさせるようなのんびりした気分。お点前の方はその間に行われ銀瓶が一つですから時間差が出来、完全な鏡とはいきませんが、まず無事に進行。床の軸は「弄花香満衣」で東大寺上野道善師の筆、茶碗は全部見立てで、席主が景徳鎮で買ったという青白磁の小鉢と大樋の白楽湯呑、和物だろうという赤絵の小鉢で、数茶碗は、席主の手作りといういろいろな種類の茶碗で、これがまた上手で素人離れしていますが、それだけに少し主茶碗と差が目立ちました。茶器が丸い瓢箪の中次、茶杓も瓢箪から作ったいわゆる茶瓢、煎茶席で見たことはありますが珍しい。両方を作った作家の芸大出身という漆芸家中村真氏が正客で、自作茶入に付けた銘「不動」「阿弥陀」、茶杓の銘「如是」「虹の龍」について、思い入れを熱く語られ、染付の振り出しの金平糖と別に饅頭(ビニールに包まれたままが、ちと気になりました)と小山園の茶を頂き終了。花を入れるのは一本だけの真ということもあってか、のんびりした気分の割には40分ほどで終わり、大寄せではなかなか味わえぬ面白い体験をさせて頂きました。
長くなりましたので続きは次回ご報告ということで。
萍亭主