緒方町の高台の草深野地区は、晴天時にはくじゅう連山や荻岳、阿蘇山、さらには豊後富士と称される由布岳をも見晴らせるのです。

その草深野では、田植の準備が始まっています。田んぼを潤す水は、遠く竹田市次倉と荻町鴫(しぎ)田に挟まれるように水を蓄えた「白水ため池堰堤」(以下「白水ダム」)から流れてきた恵の水です。

 

 

 

同じ富士緒井路土地改良区管内の軸丸地区でも同様に白水ダムからの水が張られ、棚田日本百選の田んぼでも田植が始まっていました。

 

 

 

 

白水ため池堰堤は、昭和13年9月30日、緒方町の富士緒井路土地改良区が竣工させたものです。提高(高さ)が14.1mでダムの基準とされる15m以上に達していないことから「ため池堰堤」と称されています。が、以下は通称の「白水ダム」と記させていただきます。

 

 

 

 白水ダムと幹線水路の完成によって、水に不自由することはなくなりましたが、それらに要した建設費の償還や維持管理費に充てられる水利費は、10㌃当たり18,000円に及んでいました。

 その富士緒井路土地改良では、進められた減反政策の中、白水ため池堰堤から15kmもの管路を経てきた水を、余ったからといって大野川に流し落とすのはもったいないと熟考。そこから余剰水で発電は出来ないか、と。以来計画を具体化させ、県や国の理解も取り付け、昭和58年5月、水力発電の建設に着工、59年5月に完成させました。

 

 

 

 発電所建設当時、1万8千円だった10アール当たりの水利費(賦課金)が、売電収益で一気に10アール当たり2,000円に、そして2017年には年間売電収益が1億8,000万円に達したことから1,000円に引き下げられ、今日に至っています。

 

 

 

 

 

 高台に響く心地よいエンジン音を耳にしながら、若い頃から良き理解者でいろいろとお世話になった三代英輔さんの思いが込められた歌碑にも、こうした先人の英知と不屈の魂、ドラマが、水と闘ってきた高台にこれからも宿り続けるんだな、と思いました。

 

 

にほんブログ村 地域生活(街) 九州ブログ 大分県情報へ

にほんブログ村

 

!!!!