今年も殺人的な酷暑がやってくる。
『猛暑対策BOOK 日本のヤバい夏を最新科学の力で乗り切る❢』(小学館刊)
の著書、藤井直人氏は筑波大学体育系助教で運動生理学が専門。国際的な賞も複数受賞する著者が、日本の猛暑に対処するために書き上げた。
この本の柱である「暑熱順化」とは、一週間ほどのトレーニングによって体を暑さになじませて、過酷な暑さを乗り越えられる「耐性」を身に着けることをいう。
たとえば30分ほどの暑熱下でのトレーニング。
ウォーキングやサイクリング、あるいは風呂やサウナを利用しての暑熱順化も効果的。とはいえ、熱中症になったのでは本末転倒なので無理は禁物。
事前の対策以外に、実際に酷暑に襲われてからでもできる日常の対策も紹介されている。
〈朝起きたら体重を計って、通常時より体重が減った分の水分を補給する〉
〈外出前のシャワーは水温を低めにして深部体温を下げておく〉
※深部体温とは:体の中心部の温度(約37度)で内臓など。
体の表面温度(皮膚の温度)は深部より低く手足はもっと低くなります。
深部体温が36度を下回ると、危険信号が出て体温の調整が必要になります。
〈汗はすぐに拭きとらずに、体の表面で蒸発させる〉
など、まさに科学的なアドバイスが満載。
うっとうしいだけの存在でしかなかった汗が、実は体温を下げる重要なアイテムだったり、入浴や運動次第で暑さに慣れることができるなど。
日本の酷暑は人の命を奪う恐ろしい存在になってきた。正しい知識を持つことで命拾いができる。(夕刊フジ、ベストセラー健康法より)
◆暑熱順化のメリット・デメリット◆
〈メリット〉
・体温が下がる
・心拍数が下がる
・汗がよく出る
・汗のナトリウム量が減る
・皮膚血流量が増える
・有酸素能力が向上する
・運動効率が上がる
・効果が持続する
〈デメリット〉
・脱水しやすくなる
・高温度時は効果が出にくい