インクルージョンは正しいが… | 陽炎の帯の上へちらりと逆まに映る鴉の影―どーすかΩ

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インクルージョンは正しいが、過渡期的には教育現場を傷つけるリスクとして働く蓋然性が高い。子どもの権利条約に似ている。
特別なニーズを持った生徒が規格化された教育システムに適応する(含不適応で排除される)のではなく、学校・教師をはじめとする教育システムの方が多様な生徒の持つ特別なニーズの一つひとつに合理的な配慮を提供することが、「当然の対応」であるというのは、理念的には正しい。
けれども、実際には、あらゆる「特別な支援を要する生徒」を学級に包摂的に対応することは、教員たちにはできない。二つの意味で、できない。ひとつは、能力的にできない。現場の教員たちはすでに「かつかつ」である。無理に対応すれば、事件事故の可能性が出てくる。
そうしたときに個の教員を訴訟リスクから学校や教育委員会が守ってくれないことは多くの事例から明らかである。さらに、事故のリスクがあるからと責任感を持って事前に断っても、障害を理由とした入学拒否などとして訴えられる可能性がある。
二つ目のできないは、状況的にできない、ということである。それは、他の生徒の保護者の要望である。特別な支援を要する生徒に合理的な配慮を提供しようとしても、形式的な平等観を持つ他の生徒の保護者からの反対の声があがる可能性がある。