龍之介08 | 陽炎の帯の上へちらりと逆まに映る鴉の影―どーすかΩ

陽炎の帯の上へちらりと逆まに映る鴉の影―どーすかΩ

この部屋の中にいるヤツに会いたいのなら もっと、寿命をのばしてからおいで

書いたのに消えてしまったので簡潔に


元ネタ発見!


「あばばばば」

 さんざん交換手と喧嘩した挙句、やつと電話をかけ終つたのは二十分ばかりの後である。保吉は礼を云ふ為に後ろの勘定台をふり返つた。すると其処には誰もゐない。女はいつか店の戸口に何か主人と話してゐる。主人はまだ秋の日向に自転車の修繕をつづけてゐるらしい。保吉はそちらへ歩き出さうとした。が、思はず足を止めた。女は彼に背を向けたまま、こんなことを主人に尋ねてゐる。
「さつきね、あなた、ゼンマイ珈琲とかつてお客があつたんですがね、ゼンマイ珈琲つてあるんですか?」
「ゼンマイ珈琲?」
 主人の声は細君にも客に対するやうな無愛想である。
「玄米珈琲の聞き違へだらう。」
「ゲンマイ珈琲? ああ、玄米から拵へた珈琲。――何だか可笑しいと思つてゐた。ゼンマイつて八百屋にあるものでせう?」
 保吉は二人の後ろ姿を眺めた。同時に又天使の来てゐるのを感じた。天使はハムのぶら下つた天井のあたりを飛揚したまま、何にも知らぬ二人の上へ祝福を授けてゐるのに違ひない。尤も燻製の鯡の匂に顔だけはちよいとしかめてゐる。――保吉は突然燻製の鯡を買ひ忘れたことを思ひ出した。鯡は彼の鼻の先に浅ましい形骸を重ねてゐる。
「おい、君、この鯡をくれ給へ。」
 女は忽ち振り返つた。振り返つたのは丁度ゼンマイの八百屋にあることを察した時である。女は勿論その話を聞かれたと思つたのに違ひない。猫に似た顔は目を挙げたと思ふと見る見る羞かしさうに染まり出した。保吉は前にも云ふ通り、女が顔を赤めるのには今までにも度たび出合つてゐる。けれどもまだこの時ほど、まつ赤になつたのを見たことはない。


「雑筆」

 隣室

「姉さん。これ何?」
「ゼンマイ。」
「ゼンマイ珈琲つてこれから拵へるんでせう。」
「お前さん莫迦ね。ちつと黙つていらつしやいよ。そんな事を云つちや、私がきまり悪くなるぢやないの。あれは玄米珈琲よ。」
 姉は十四五歳。妹は十二歳の由。この姉妹二人ともスケツチ・ブツクを持つて写生に行く。雨降りの日は互に相手の顔を写生するなり。父親は品のある五十恰好の人。この人も画ゑの嗜みありげに見ゆ。(八月二十二日青根温泉にて)


今日よんだ中では報恩記がよかった

また盗人の話

阿媽港甚内が格好いい


「秋山図」

「藪の中」系


「山鴫」

「蜜柑」系

大人げなく頑固なトルストイに漱石のイメージがかぶっている気がする


「奇怪な再会」

これは新鮮な感じ

医者Kを出したのはうまくない

大正9年の作なのでおそらくお蓮はしげ子のイメージ

白い犬が出てくる

中国趣味もよい

正妻が妾宅を訪ねてくるところは読んでいてげろ出る><


「妙な話」

「赤帽の男」のイメージ、歯車の先取り

大導寺信輔などの「水死体」のイメージ?

そういえば奇怪な再会の金さんはおそらく溺死している

尾生の信とも響いている


「奇遇」

取り繕いの看破


「母」

しんどい


「将軍」

頭部銃創のため発狂する一等兵が好き

観劇中ケチをつける将軍は「河童」に再登場する


「神神の微笑」

日本文化論?ユリシーズ→百合若ってたしか俗説だったとおもう


「世の中と女」

もしそれ私一人の好みを言えば、やはり、犬よりは狼がいい。子供を育てたり裁縫したりする優しい牝の白狼がよい。

奇怪な再会のお蓮みたいに、その野性によって剃刀で刺されるぞ…

神父の「凄み」みたいな?



「売文問答」

編集嫌いなんだね…

戯作三昧に出てきますね


「仏蘭西文学と僕」

うざい


「さまよえる猶太人」

罪即罰と贖いという発想の一人よがり感がすごい

そんなもんですかね


「黒衣聖母」

一塊の土にも似ている

老母の間抜けさとどうしようもなさ

このへんリアルです


おぎん

棄教と転向

無償の愛のために地獄に行く

天国という考えと博愛は矛盾するというのは考えたことがありました

俊寛みたいな開き直りのほうが開かれているのではないでしょうか


おしの

なぜ私を見捨てたもうたのですか?を聞き「見下げ果てたやつでございます」と一蹴する武人の妻

キリストを臆病とののしった人は初めてです


糸女覚え書

イソップの孔雀の話よく引きますね