革命のまえに | 陽炎の帯の上へちらりと逆まに映る鴉の影―どーすかΩ

陽炎の帯の上へちらりと逆まに映る鴉の影―どーすかΩ

この部屋の中にいるヤツに会いたいのなら もっと、寿命をのばしてからおいで

結局、なんであれ社会運動をやりたいなら人を集める必要がある

いや、社会運動にとどまらずある程度以上大きな活動をするには人が要る


人を集めるにはたぶんふたつの仕事があるだろう

第一はそのまま、ひとを集めること

人を奮い立たせること、なにかしらのインセンティブを与えて参加してもらう

ついで、集めた人をいかに組織するかということ

ここが今回の場合はむつかしいところで、組織的組織にしたくない、官僚制、分業体制を敷きたくないって話だった


蟹はみずからの甲羅に合わせて地面を掘る

理想の先駆的形態として運動は、あらねばならない

体制をきらってそれにたいする反動をやろうというなら、いや、目前の世界を変えようとする場合にはつねに、それに代わる理想を示さなければならない

その理想がリアリティを濃くすればするほど革命は、世界の意味連関の再編成は、近づくのだろう


理想はありえないものだ

なんとなれば理想とはまさに現実にないものであるから

ありえないものをあらしめるためにはどうすればよいのか

ありえないはずのものがあたかもあるかのようにふるまうという経験を私たちはもっている

幽霊である

運動とは幽霊である

幽霊であればこそ、それは古いものの新しい表現以外ではない

幽霊は「還り来るもの」である

拡声器から発せられる第一声は「ただいま」以外にありえない


けだるい潮の匂い、焼け付くアスファルト、朽ちたガードレール、莫大な入道雲、とびと蝉の鳴き声、凍るような風鈴の音色、トンネルを抜ける風

きみにもう一度会えたら、とぼくは強くおもう


現実の世界に理想をまぜれば、世界は永遠のものとなる

なぜか

そのとき世界は同じものの新しい現れとしておのれを位置づけることになるからだ

ぼくたちはきみに惹かれてやまない