「ないものの影」をめがけて | 陽炎の帯の上へちらりと逆まに映る鴉の影―どーすかΩ

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この部屋の中にいるヤツに会いたいのなら もっと、寿命をのばしてからおいで

学館開かず。

なんとなく予想してたんですけどだめでしたね。

べつにぼくは散歩がしたかっただけだからいいんです。


*


オビワンが死ぬ、ルークがオビワンの声を聞く、フォースを(それがなんであるかはともかくも)信じてスコープをとる、じぶんの目でみて引き金を引く。

そういう手続きが必要だったんじゃないか。


どうしてそういう手続きが必要だったのか。

ルークにフォースを信じさせるため?

フォースなる「ないものの影」を迂回することなしには「失敗を宿命づけられた企て」をある痛みの内に成功へと書き換えることはできない。

フォースとはなにかっていう根源的な問いがネックになってくる。


フォースってのは実存するものではないとおもいます。

それをコントロールしようとする人間にさえもそれがなんであるかうまく答えることができないものであるから。

フォースがなんであるかと問うのはナンセンスです。

そうではなくてフォースとはなんではないかという問いの連鎖のうちにそれを問う主体そのものが呑まれていく過程においてしかフォースをめぐる「解けない問い」の解決はありえない。

それはあたかもおのれの分泌した巣のうちに溶解してしまう蜘蛛のような事態です。


あ、そうか。

主体の分節線そのものの書き換えが必要なんだ。

おのれをおのれとする境界を一時停止し、おのれとおのれ以外をあわせたより上位の場に「総体」という部分を投射することで、行き詰った問いにあらたな原動力を賦活すること。

それが、それだけが「失敗を宿命づけられた企て」を為しうる唯一の方法である。

「ぼくにはできないこと」を「ぼく」がするためには、「ぼく」という語が指示するものがべつであればよい。

そうすれば論理的には可能である。


ルークはルークである限りデス・スターを破壊することができない。

しかし、ただのルークは聞こえないはずのオビワンの声を聞き届けることによってオビワンの声を聞くことの出来るルークとなり、ただのルークには達成することの出来ないはずのデス・スター破壊を、もはやただのルークではないルークならざるルークであるがゆえに成し遂げることができるようになっている。

デス・スターを破壊したまさにそのとき、ルークはおのれみずからによって実在しないはずのフォースの導きに従いデス・スター破壊を達成することのできるジェダイの騎士となっている。


うむ、ちょっとややこしいね。


*


ぼーりんぐわっほい