サークルに入会する旨を伝える。
さすがに一回見ただけで入会を即断即決する阿呆はぼくしかいなかった。
うん、でもいいんだよ。
ぼくは後悔をしたくなかった。
例えばいままさに死ぬとして、それで入会をためらったことを悔やまずに死に切れるのかと問うてみる。
無理だ。
常在戦場とまではいわないものの、武道というものはいつでも生死のあわいに存立する事態である。
そこで「死者としてのわたし」という仮構の視点をもたないで判断を下すということは武人として認められがたいだろう。
ためらえば死ぬ。
きょう先輩方が仰った「最短距離の身体運用」は畢竟するところそういうことではないかとぼくはおもう。
新入生のみなさんはきちんと新歓パーティ等に参加し数多ある部活動やサークルを比較考量したうえでていねいに判断をくだしましょう。
あーやばい。
びびびびと来た。
ああ、ぼくは彼らに会わんがためにこの大学に入ったのかとおもった。
阿呆っぽいでしょ。
うん、でもほんとにしょうがないのである。
びびびびと来ちゃったんだから。
さて、行動指針がやや書き換えられることになろう。
ぼくはちょー新米とはいえすでに「内側の人」になってしまった。
風景が変わればルールが変わるのである。
ここで参照すべきはやっぱりあれである。
「国家があなたに何をしてくれるかではなくあなたが国家のために何ができるかを問おうではないか」
ジョン・F・ケネディの口吻を真似れば、サークルがあなたに何をしてくれるかではなくあなたがサークルのために何ができるかを問おうではないか。
とりあえず先輩の名前を覚えよう…。