ハタハタ考察♯05 | 陽炎の帯の上へちらりと逆まに映る鴉の影―どーすかΩ

陽炎の帯の上へちらりと逆まに映る鴉の影―どーすかΩ

この部屋の中にいるヤツに会いたいのなら もっと、寿命をのばしてからおいで



○物語成分

③'これは、俊一が父の死から目を背け、ハタハタに目を

向けようとして、母に叱責され父を忘れて腹の心配を

した自分を恥ずかしく思い、貧しさの中で生きることの

残酷さを噛み締める物語である。


ちょっとつたないけど、これくらいで。


人間の尊厳みたいなものがある。

死者を慰め供養するのは人間にしかできない。

だけど、「貧しさ」は人々に、悠長にそんなことをしている

余裕を与えない。人間の精神活動はある程度の生活的

余裕の上に成立するものだ。


父と祖父が死んだ今、家の最高責任者は母、ということになる。

死者への敬意というエゴと、「家」の存続というエゴに

引き裂かれて俊一の母は苦しんだ。

夫への愛と息子への愛を天秤にかけなければいけなかったのだ。


この小説は構造上、父の死がハタハタを呼んでいるように見える。

いうなれば、俊一は父を殺して豊かさを得て、母と二人で

(千代もいるけど)幸せに暮らしているのである。

そういえばオイディプスそのままのような気もする。


『俊一は、顔を赤らめた。祖父と父を失った悲しみの中で村落の

殷賑にふれようとした自分が、ひどく不謹慎なものに思えた。』


これさ、おかしくない?


な ん か エ ロ い


すっごい背徳的なオハナシな気がしてきた。

表から見れば、

父と祖父を失って、貧困のせいで仕方なく共同体の

存続の為に遺体捜索打ち切ってハタハタ漁を認めるしかない。


でも裏から見れば、

壮大なプレイだったんじゃ・・・。

昼ドラも真っ青のドロドロぶりです><


仮にそうだったとしても受験じゃ聞けないよね。


・・・。


・・・続きの問題解かなきゃならんのですよ。

一番イヤなのは僕だよ。どう書けって言うんだ!



三 Cについて、隣家の漁師の妻の「放心したような表情」は、

村人のどのような心理を表しているか、説明しなさい。


C_その顔には、放心したような表情が色濃くうかんでいた。


A.村が、互助によってそのつながりを形成している共同体である

以上、亡くなった村人の遺体の共同捜索は村を維持していく

上で不可欠である。しかし、貧しさに苦しむ村にとって、ハタハタの

大群の到来は、長く待ちわびたチャンスである。

死者を敬う気持ちはあるが、その為に生者が脅かされるのでは

元も子もないと思いながらも村の建前ゆえに感情を表に出せず

抑えている。



四 Dにおける母親の表情には、その心の内面でいかなる

変化が生じたことを意味しているか、説明しなさい。


D_母が別人のようなおだやかな表情で声をかけた。



A.父と祖父を喪った悲しみに打ちひしがれているだけだったが

放心したような村人達を見て、このまま貧しさが続けば

また父や祖父のように貧しいが故に無理をして命を落とす

者が出てきてしまうかもしれないことに気がついた。

今では、残された家族の中での責任者は自分であり、

自分が「家」としての意思決定をしなければならないという

自覚を持ち始めている。


五 Eにおいて、母はなぜ少年である主人公を自分と

同行させようとしたのか、説明しなさい。


E_「ついてこい」

母が不意に立ち上がると、合羽を身にまとった。



A.父と祖父が死んだ今では、「家」における意思決定の責任者である

「父」の役割は母が代わりに担うことになる。

将来、家の跡継ぎになる俊一に、その役割を教えるのも「父」の

仕事である。母は家長がしなければならない仕事を俊一に

見せようとしたから同行させた。



六 Fについて、「海面を見つめていた母が、再び歩き出した」ことから、

母親のどのような心理を読み取ることができるか、説明しなさい。


F_海面を見つめていた母が、再び歩き出した。



A.俊一の父はつらく貧しい生活の中で亡くなっていったのに、

それと入れ替わるようにハタハタの大群がやってきた。

「貧しい村」という共同体の内に生きることがいかに残酷か。

母は、海中にうねる「生」そのもののようなハタハタを見て、

自分が自ら、やはり死者よりも生者を優先することを

選ばなくてはならないことを思って、貧しい人生の不寛容な

薄情さを噛み締めている。



七 Gについて、漁業組合の役員たちが、「母の顔を不安そうな

眼で見つめた」のはなぜか、説明しなさい。


G_母の顔を不安そうな眼で見つめた。



A.母親が遺体収容継続の念押しに来たと考えて、

そうであれば、貧しさから抜け出すためのハタハタ漁を

中止しなければならなくなるから。



八 Hについて、母親が自分の考えを「一語一語区切るように」

述べた心情について説明しなさい。


H_母は、一語一語区切るように言った。


A.貧しさの中亡くなっていった父の遺体収容をあきらめて

自分達だけ安易にハタハタ漁によって豊かさを得ることは

許されないだろうし、到底納得できないが、そうせざるを得ない

以上、一語一語区切って話すことで、村の為、家の為だと

飲み込んでいる。



九 Iにおいて、なぜ俊一は母親の行為を理解しようと

しなかったのか、その心情について説明しなさい。


Ⅰ_俊一は、母のとった行為が正しいのかどうかは

理解できなかった。


問題文で、本文中の「できなかった」とあるのを「しなかった」

と書き換えてるのは何か狙ってるのか?


まあ、解いてみる。




A.貧しい村という共同体において、また同じような犠牲者を

出してしまうことを考えずに、父の遺体収容を優先するような

エゴは、死者への敬意を持っていることにはならない。

かといって、遺体収容をあきらめて、ハタハタによって豊かさを

得るのも人間の尊厳だとは思えない。

どちらも選べない無理な選択肢を、村に属す家の「家長」に

選ばせる「村」という共同体に違和感を感じながらも、やはりそれを

維持しようとする母の行動は理解できなかったが、「村」の内に

当たり前に生活している俊一にとって、「村」という枠組み自体を

疑うという発想は無意識の内に否定されるものだったから。




とりあえず、でけた。


千秋!いざ尋常に勝負!!