第一回 やすらぎの丘(神戸市北区大沢町)
神戸市北区大沢町は、神戸市北区の中でも面積が小さく面積は1,347ha、それでも同市長田区の1,136haより少し大きい程度。ただ人口が1,000人を下回り、幼小中学校が同じ敷地内にある、ちいさな田舎町になります。
地方からの嫁入りの時、『神戸に嫁入り出来る♪』と、意気揚々と嫁に来たら『うちより田舎やった…』という笑い話をよく耳にします。
そんな小さな大沢町は播磨ノ国との国境、摂津ノ国最北西に位置し、江戸時代は伊勢鳥羽より転封され織田信長家臣で九鬼水軍で有名な、九鬼家の所領でありました。大戦中は、兵庫縣有馬郡大澤村となっており神戸市ではありませんでした。
(神戸市北区大沢町 忠霊塔『やすらぎの丘』)
(光山寺公園より大沢町遠景 山の峰の奥が播磨の国)
大沢町HP → https://www.ozo.jp/
大沢町遺族関連HP → https://kurumaga.jimdo.com/
現在も大沢町は開発がほとんど入っておらず、住民もほとんどが昔からこの土地に住まう方々であり、戦没者慰霊碑がある『やすらぎの丘』について『町内に知らぬ方はおらぬ』そんな地域になります。
幼少の頃、学校園のグラウンドで遊んでいると、通称『忠霊塔』『やすらぎの丘』と呼ばれ親しまれている慰霊碑が必ず見て取れ、戦後50年の戦没者追悼慰霊祭までは、『招魂祭』と称して盛大な慰霊祭が町あげて執り行われ、その後には町中の老若男女が学校園に一堂に会し大きな催しとなっていました。
(やすらぎの丘・忠霊塔前からの大沢町学校園)
忠霊塔内後部には納骨堂があり、昭和12年に町で最初に戦没された岩形光夫様をはじめ、85柱の御英霊がお祀りされています。(平成27年の遺族会調査において1柱判明し、現在85柱となる)昭和17年4月起工、翌年10月に竣工した。
毎年4月には忠霊塔があるやすらぎの丘において、大東亜戦争において戦没された、85柱の御霊を弔うため戦没者追悼慰霊祭が執り行われています。
(昭和19年3月 忠霊塔前にて撮影)
(毎年4月の慰霊祭の様子)
(忠霊塔内部の納骨堂)
慰霊祭では現職の神戸市音楽教諭である松下行馬先生が、ビルマ(現ミャンマー)より無事生還された幸田貢さんが記された手記を元に作曲された組曲である、継承歌『野末の露』が地元合唱団『やまびこ会』によって合唱され、戦争の無慈悲さ、悲惨さ、生ある事の喜びを今に伝えています。
また、地元の大沢中学校の学生さんも参列され、やまびこ会の方々と共に慰霊祭において合唱もして下さり、若い世代の方々も鎮魂のため共に手を併せていらっしゃいます。遺族会の高齢化により参列者が減りつつありましたが、近年地元大沢町遺族会や、学校園、自治会や婦人会等のご尽力もあり、少しずつですが若い世代の方々の参列が増えつつあります。
大沢町学校園近く、慰霊碑へ向かう道中には、大正時代に建設された旧郵便局を改装し、Kobe Ozo Cafe 901としてオープンされた大変素敵なカフェがあります。木造で、調度品やちょっとした小物にも郵便局当時の面影が感じ取れ、おしゃれな中にも懐かしさを感じるカフェになっています。町内で採れた米・野菜はもちろんのこと、旬の季節には苺やスイートコーンを使ったお料理やスイーツを提供して下さり、地域の旬の味を堪能できます。
店長さん(地元有名ブロガー:おったんさん)と奥さんが、いつも優しく迎えてくださり、町民にとって憩いの場として大変愛されており、遠方からも多くの方が訪れていらっしゃいます。
(Kobe ozo cafe 901さん)
ozo cafeのHP → http://blog.livedoor.jp/kobeozocafe901/
店長さんのBlog → http://sandanoottan.livedoor.biz/
神戸市の中で大沢町は過疎化が著しいですが、町内には神戸市立フルーツ・フラワーパークがあり、最近そこに道の駅が完成し、FARM CIRCUS | 道の駅 神戸フルーツ・フラワーパーク大沢として、多くの方々が来訪されています。更に、神戸三田プレミアム・アウトレットや、イオンモール神戸北、キリンビール神戸工場や、かねふくめんたいパーク神戸等が近隣にあり、ショッピングから宿泊をしながら田舎を堪能できる、車でアクセスするには最適な、そんな便利な田舎になりつつあります。
(道の駅 FARM CIRCUS)
(神戸三田プレミアム・アウトレットモール)
FARM CIRCUS HP → http://fruit-flowerpark.jp/farm-circus/
アウトレットHP → https://www.premiumoutlets.co.jp/kobesanda/
ここまでご覧いただきありがとうございました。
第1回目として、筆者出身の神戸市北区大沢町を取り上げさせて頂きました。
今後は都合上、また実験的な意味もあり、不定期連載となりますが、兵庫県下の遺族会を中心とした、そこでお祀りされている慰霊碑や史跡をめぐり、取り組みや慰霊祭の様子等、幅広くご紹介出来ればと考えています。
また併せて、その地域やご当地ごとの紹介も共に行い、慰霊碑・史跡だけではなく、『地域の中の慰霊』を取り上げて行きたいと考えております。
今後ともよろしくお願い申し上げます。
兵庫県遺族会青年部 副部長 藤崎潤
兵庫県遺族会HP → https://www.hyogoizokukai.com/
兵庫県遺族会Facebook → https://www.facebook.com/hyogokenizokukai/