天下第一奇観「石林」(後) | 手のひらの中のアジア

天下第一奇観「石林」(後)

石林へ向けて出発したバスの車内。


散々もめただけに、一日どうなることやらと少々の心配もあったが、バスが動き始めて以降はガイドもガイドとしての誇りがあるのか、ドライバーも同様に、僕らに対しても妙なほど親切な対応になった。また喚き散らされては困るとでも思われたのだろうか、まぁ仲良くやれるならどちらでもいい。


この偶然乗った中国人観光ツアーのバスで共に行動することは意外にも利点が多かった。途中の観光立ち寄りでも入場料金を払わずに入場できた上に、ツアーのため昼食場所もそれなりに良いところへ案内されることになった。ようやく到着した石林の入場料だけは支払いを請求されたものの、ツアー参加者ではないのにおいしいところだけツアー客扱いで堂々と行動できるというのは、もめてでも乗り甲斐があるバスだったかもしれない。


さて「天下第一奇観 石林」。


数億年前には海の底だったというこの地は、その海底にあった石灰岩盤が風化して無数の石柱となり、林のように立ち並んでいる。


その見事なまでの石柱の林立ぶりには圧倒される。意外にも驚いたのはその広大なエリアとそれらすべてに観光地としての管理がくまなく行き届いていることだった。きちんと整備された遊歩道に、芝生の刈入れ、大小様々な池。園内には観光用のカートなども走っている。


賛否両論分かれるところだが、僕にとってはこのいき過ぎた管理の上に成り立つ石林は、これはこれで居心地のよい公園を散歩しているようで気持ちがよかった。


ところどころ自由に、ところどころツアーに混ざってみたり。ツアーでは茶室のようなところでサニ族によるお茶の試飲と販売があるのだが、休憩がてらにそんなところに参加できたりするのも面白い。たまにはいかにもツアーといったものに参加してみるのもいいものだ。


帰りには、疲れた足をほぐしましょう、ということで、足マッサージ店にも強制的に立ち寄らされたのだが、これまでもが無料だというのだからもう素晴らしい。ツアー参加客でないのに、ツアー参加客。最後まで大満足で僕らはこの日一日を終えた。


朝から一悶着あって始まった石林へのショートトリップ。


気の合う仲間4人で出かけたこの一日の出来事は、僕の心の思い出の一つに大きく刻まれた。