ダウン・ツ・ヘウ゛ン | Forlonger

ダウン・ツ・ヘウ゛ン

森博嗣・著

『スカイ・クロラ』シリーズ第3作。

戦闘機の女性パイロット、クサナギがただひとり敬愛する戦闘機乗り『ティーチャ』と空で敵同士として対峙する、その心情に焦点を絞った作品です。

前2作よりもクサナギの主観が強く押し出され、その結果として読み手側により深い理解と共感を呼び起こすことに成功しているように思います。

同じパイロットとして、また一人の人間として、心から愛し慕っている相手と、たとえ敵という立場だとしても再会でき、一緒に空を飛べる。
その切ない喜びに、一貫して淡白な感情しか持たないはずのクサナギが、戦う前夜、会いに来たティーチャと話しながら涙する場面が印象的でした。


「あなたのことを尊敬しています。僕の命を懸けて、精一杯……」そこで言葉が出なくなった。僕の頬に涙が伝っている。それが口に入るくらいだった。涙の味がした。どうして、泣いているのか、自分でもわからない。「がんばります。どうか見ていてください」