スカイ・クロラ | Forlonger

スカイ・クロラ

森 博嗣・著

戦争が日常として容認されている世界の、日本とよく似た国で、戦闘機のパイロットとして行きている主人公の一人称で進行する物語。

今夏映画化ということで、大々的にプッシュされています。

森さんの作品はこれが初読となりますが、「本」という媒体を前提として、視覚的効果を重要視した文章構成をされる書き手の方だなと思いました。

戦闘機/飛行機上での場面の、改行や体言止めの多用は、読み手の速読・即解を自然と促し、速度を上げるストーリーに対して一体となります。

改行によって作られた間隙も、頁全体を眺めると、ある理由で他の人間とは異なる存在である主人公の、精神の空白―孤独を表現する手段として秀逸だと思います。

また、中公文庫版の装丁も一面の青に白字で美しい空そのものでした。

ラストに近くなるにつれ、明らかになる事実は痛烈、そして最後に主人公が下した決断は悲痛です。

ただ、スカイ・クロラシリーズでは時系列が刊行順ではないため、この作品の結末に他の意味をもたせるのは、既刊をすべて読んでからにしたいと思います。