今日の東京には、

線でもなく、玉でもなく、

ヴェールのように雨が降りてくるわけで。


肩を濡らすわけでもなく、
気持ちを沈ませるわけでもなく、

シャツを通して、
節くれだった心に、

優しく覆いかぶさるように、
包み込んでくれるわけで。


時々こんな風に降りてくる雨の日は、

理由も無く優しい気持ちを思い出すわけで。



例えば、昔の友人になんとなく電話をしたりするのはこんな日。

つまらない理由で、喧嘩した彼女に、

ごめんね、なんて電話するのもこんな日。



こんな日は、

届かなかった君と一緒に、

一面が丸まる窓になったあのレストランで、

蝋燭の明かりの中で、
優しくその唇に振れる夢をみるのです。


朝もやの中で、

頬を伝うのが、

そんな雨の残り香なのか、涙なのか、


それは僕には判らないのだけど。

無機質なH2Oの成分に、
優しさが混じっているのかもしれないなんて、


そう思えるのは、こんな夜。


ぼんやりと浮かぶ月を見ながら、

君の居ない左側に、少しだけ体温を感じる、そんな夜。


世界に笑いが1個でも増えるといいななんて、
気恥ずかしいことを想ったりするのも、こんな夜。


あなたは今、何処に居ますか?