人は、柔らかいから壊れるのだと想っていた。

固まりきらないうちに、粘土は歪に造形されるのだと想っていた。


だから、この塑像の森は、
どこか欠落したり、ありえない角度に身体を曲げた人物像が、

怨嗟と歓喜を同時に浮かべながら、林立しているのだと。



でも、違うそうじゃない。

必要以上の応力によって、歪められたその姿なら、
その歪さゆえにバランスを取るのだと。

世界は同じではない、
ある塑像が、翠と想う空は、
別の塑像には、金色に映る。

便宜上、その全ての象は、空は蒼いと口を揃えているだけなのだ。


ヒトの崩壊は、
此れでいいのだと想った後に訪れる。


塑像の森に、局地的に嵐が吹く。

奇妙に身体をくねらせた塑像は、
その風を、奇妙に受け流す。

でも、比較的現実的な人間のカタチに近かったものほど、


突然の天変地異に、

修復できない亀裂を産んだ。

風より尚、大きな音を立てて、
その塑像の世界は壊れた。

柔らかな肌なら、何れ癒される事もあるのだろう、

まだ、固まりきっていない青銅であれば、
またそれを繫ぐこともできよう。


でも、固まってしまった自分に、現実に、

抗えない付加が掛かるとき、

ヒトの亀裂は其処にこそ走るのだ。


取り返しがつかないほど、致命的に、絶望的に。


そして、人は絶望で生きることを止めない。

諦めて、その手を止めるのだ。

粉々に打ち砕かれた我が身を嘆き。


そして尚、その目には、低くなってしまった視界だけが広がる。