キミがね、遠い昔に教えてくれたの。
笑顔の裏側には、色んな感情があるんだって。
ヒトは、うれしいから笑うわけじゃないって事。
笑ってたはずのキミが、僕の知らない背中側で、
静かに泣いていたあの日にね。
成長の遅い僕はさ、
だから、それから人々がつけるペルソナが見えるようになった。
世の中のたくさんのひとはさ、
仮面なんて、つけてるけど、
顔半分の仮面だったり、所々欠けていたり、
あからさまにこれは仮面ですよ、
って、わかりやすいのをかぶってるヒトが大半だった。
だから、すぐ判ったんだよね。
ああ、中途半端な仮面をつけてるヒトは、
みんな素顔を見て欲しいんだってね。
だから、俺は心のなかで、ぽそっと言う。
『ねえ、じゃあ、アナタの素顔ってほんとにそれなんですか?』ってさ。
でも、確かに居るんだよ。
本来の顔と、見分けがつかない仮面をつけてる人たちが。
綺麗な風景をみて、ココロが動くなんて、誰でもあること。
有名な絵画を見て、感嘆の声を上げるなんて、誰でもできること。
狭い世界の中で、
これが一生に一度の恋って想うなんて、世界で一番簡単なこと。
でもさ、そうじゃない。
世界の果ては、いつだって広がり続けてるんだって。
自分が、世界を狭くしてるんだって。
そんな1たす1が2になるのと、同じ事を見ないヒトがたくさんいることを僕は知った。
そこにあるはずの、君の仮面のふちに指をあて、
ここに仮面があるの?と聞いていた幼い僕。
今は、キミに揺さぶりをかける。
笑う君に、なんで泣いてるの?って。
笑顔と悲しい顔の間にある、
ほんの微かな不自然な変化までの時間にさ、
口には出さないけど、
君の世界に広がる場所から、泡みたいに、
感情が表情に変換される様子を想像する。
僕の、指で舌で、跳ね上がるキミの身体を見て、
それが本当なのかどうかも判りはしないけど、
ただね、今日はさ、
他愛の無い冗談で、身体をたたきあってふざけるキミと僕。
ただね、今日だけは、
何故かキミの感情と表情が、ぴったりと一致してるんじゃないかなって、
そう思えたんだ。
丁度、今のキミと僕の身体みたいに。
化粧をすれば、僕にとっての世界一の顔になるキミだけど、
ほんとは、化粧なんかしなくても、僕の世界一で、
今日のキミの笑顔は、また僕の世界記録を更新しちゃうわけだね。
なくして初めて判るものなんて、嘘だよ。
今僕は幸せを感じてる。
触れば、キミのおっぱいみたいに、僕の指を押し返すくらいはっきりと、
ただ、キミが笑う今が僕の幸せ。
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