家具屋のショウルームの脇にある喫茶店で、
曇り空を観ていたら、
何故か死にたくなった。
理由は秘密。
そしたら、目の前から、
”くだらない”って呟きが聴こえてきた。
テラスでは、
窓のスモークの下から、黒い犬の足だけが見える。
-ねえ、くだらないと想わない?-
目の前の女性が僕に、問いかける。
隣のテーブルで、喧嘩するカップルの理由について怒っているらしい。
でも、僕は
隣のカップルの会話を聞いていなかったし、
君の言葉は、僕に問いかけられた気がした。
「ねえ、世界一美しい空が、今日だったとしたら、
君は、明日からも空を見上げると想う?」
顎に人差し指をかける仕草は、可愛いと思った。
「もちろんね、だって明日が今日より美しくないなんて、
それは私の基準じゃないもの。」
或いは、そうかもしれない。
僕は想う。
悲しみは、悲しみを呼ぶのなら、
時として、悲しみが、喜びを呼ぶのはどんな時なんだろう。
僕が注文した、ゴマのミルクは、とても喉越しが悪くて、
自分の所におかれた水だけでは、足りなくなった。
「ねえ、お水を一口もらってもいいかな?」
「いいわよ。」
すっと差し出されたグラスの水は、
君の口紅と同じ、バラの味がした。