歩いて数分のとこに住んでいる、

僕の彼女には、旦那さんが居た。


だから、会社を休んで何処かに出かけるとき、

僕らは、駅までの距離をまるで他人みたいに歩いていく事になる。



でも、僕は知っている。

人ごみの中にいる無表情な君が、

どれだけ僕の腕の中で蕩けていくかを。


先を歩く君の手に、わざと手をぶつけた時に、

ビクッと過剰に反応する君は、他人じゃないって自分から言ってるね?



目的地に着くまでの電車は、混みあってる。


始発駅で、

僕が席に着くと、君は遅れて僕の向かい側右に2つずれた席に座る。


その時、こちらをチラリともみないのは、

君の気の強さ。



おもむろに君はDSをバッグから取り出すから、

僕も尻ポケットからDSを引っ張り出す。



-ちょっと?!さっきわざと私にぶつかったでしょ?!-


ピクトチャットなのに、わざわざテキスト打つんだもんなあ、遅いよお。


-ぐーぜんでしょ?!-


-うそだねー!?-


黙ってると、とても優しげに見える君は、

実はとっても気の強い女の子。


少し真面目そうに見えるその通った鼻からは、

想像もできないくらい、

君は、かわいらしい子。


-ほんとだって!あ、そうそう、お願いがあるんだけど?-


-ぶつかっといて、何お願いとか?!-


-今日はカラオケやめて、密室でデートしない?-



真っ赤になって、こっちを見る君。

あれ?いいんだっけ?こっち見ても?(笑



-やだ-


-どーして?-


-どうしても!-


-やだ-


綺麗な髪を、独りでかきむしりながら、

やっと手書きのチャットになった、君。


電車も此処までくると、大分混んでる、

君との間に、何人もヒトが居るのは、なんとなく不愉快。


-やだじゃないわよ?!カラオケいきたいもん-


-もんとか言ってるしw-


-やだもん-


-ほんとは恥ずかしいだけなんでしょ?-



-うるっさい!-



そこまで書いてたら、

目的の駅に着いた。


先に降りる、君の手を、後ろから僕が握る。


驚いて振り返る君は、

まだ真っ赤なままの顔で、僕に言う。


「で、どこいくのよ?」


唇を尖らすなって、人前でもキスしたくなるから。


「ん?もちろん恥ずかしがらせに行こうかなって。」



長いエレベータの間、うつむいてた君。


返事をする代わりに、

僕の左手をきゅっと握るんだもんなあ。


なんだか、こっちが照れてきた。


「やっぱ、カラオケ行く?」


なんて、赤い顔で俺も言っちゃうわけで、


そしたら、

泣きそうな顔で、


「ばかっ!」


とか、ほっぺたつねられた。


というか、俺が聴きたい、君はなんでそんなにかわいいんだ?

これって、俺が惚れてるからなの?


ワケわかんないけど、

冗談抜きに、今この瞬間、このこをぎゅーっと抱きしめたいって、

欲望と戦ってたら、


エスカレーターの終点まで着てね。


「やっぱり、今すぐキスしたいから、密室に行こう!」


って駆け出しちゃったよ。


何年経っても、君の手を握ってると、ドキドキするんだよね。

なんでだろうね?







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