物語の中の登場人物ってのは、幸せだなと想う。

どんなに些細な役柄でも、演出という神に認められた、役割があるのだから。


物語の中で、存在を許されているのだから。



つまり、僕の物語は、僕が見つけて、認めなければ、誰にも気づいてもらえないという事。


それは21歳の時のお話。



気がつけば、僕の人生は既に嘘で塗り固められていた。


『君が好きだよ』


『君が辛いときに、僕を思い出して』


本当は、落ち葉の死骸でできた、僕という寝床を、

まるで青々とした若草の布団のように見せて、君が安らかに寝息を立てられるようにするために、

僕にできるのは、偽ることだけだったんだと想う。


虫なんて大嫌いなのに、平気な振りをして、この幸せな空間に近づく虫を、

1匹1匹手で潰し、その手で君の頭を撫でた。

実のところ辛かったのかと聞かれれば、それすらも判らない。

だって僕は、自分が”ほんとうは”どう感じてるかなんて、考えもしなかったから。


朝露で喉を潤してよと、差し出したグラスの中にあるのが、

僕の中で唯一湿り気をもっていた一つのもの。

血だったとしても、それを爽やかだと、飲み干す女性たちに、

いくばくの想いが僕へあったのか、それを期待することは傲慢だ。


僕は嘘をつく自分にすら、嘘をついていたのだから。

騙された女性に恨み言を言う資格なんて、僕には当然ない。


『おはよう』と満足そうな君たちの笑みを見たときに、

”ああ、僕は幸せだ”と、そう思い込んでいたのだから。


こうやって、ホントは血を流す自分の内面の痛みと引き換えに、

例えば”セックス”することができたし、

例えば”僕には好きなヒトがいる”という満足感に浸ることができた。


誰もがそうしてると、想いこんでいた。




でも或る日僕は、恋をした。


表面上の僕と、内面の僕が、揃って。

『君が好きだ』


そう想う女性に出会った。


つまり、ようやく僕の物語が始まった時、

愛しい女性に、『好きだ』と、簡単には言えないという、当たり前のことに僕は気がつくことになる。

でも、体中の細胞一つ一つが、毎朝君への想いを廻りに吐き出していた。


同時に、嘘で塗り固められた僕の人生が、

その子のまでできることなんて何一つなかった。


だって僕は空っぽだったから。

21年掛けて判ったことは、僕の中が空っぽだったということ。


ただ生きることに、まっすぐな君の瞳を見たときに、

君の背中と、僕の歩みの間にどれだけの距離があるのか、


でも…絶望したりしなかったんだよ。

気の遠くなるような距離を気にしたりもしなかった。


恋をするっていのは、そういうことかもしれない。


少しでも早く、君の背中に追いつきたくて、

ひたすらに走った日々、手近にあるものをなんでも掴んで飲み込んだ。

空っぽの身体を埋めるために、使わなかった筋肉を使い、

食べなかったものを食べて、今度は身体の表面に血を流しながらね。


でも、それが血となり肉となり、

僕を作り変えるのは、作り変えたと実感できたのは、

何年も何年も後のこと。


13年後の僕は、好きじゃない人に好きと言うことに

罪悪感が付きまとうということを学んでいた。


それでもやはり、口から好きだという言葉がでるあたり、

僕は寂しがり屋なんだろうね。


少なくとも、僕が僕を取り戻すまでには、永い永い時間が必要だったんだ。






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週明けました~。


HANさんからの罰ゲーム対象作品の1つ目です。


みなさんも、赴くままに100点満点何点か採点したり、

言葉を選ばないコメントしてってくださいね~。


あ、言われる前に一つだけいっとくと、これは創作ですからね?(笑



また例によって、受けてにとって理解しにくいクドイ文章になっちゃいましたね~。

ど~にも、何も考えないで書くと、クドイことしか書かないみたいですね。


また、ひつこい!って怒られそうな文章を書いてる自分が

少しだけ好きだったりする、週の始めです。