まだ、俺に文字も経験もなかった頃。
俺にワインと珈琲を教えてくれたのは、オマエだったな。
今じゃ考えられないけど、
やっとした恋に一生懸命で、
何も知らない、オマエのことをなんでも知りたがったっけ。
でも、1年かけても10年掛けても、
オマエが変わっていく早さと、俺が理解して固まっていく速度、
どっちの方が早いんだろうな。
でもさ、
たとえどんなに距離が離れても、
オマエが教えてくれた珈琲の味を忘れない。
俺の中に眠っていた、文字を掘り起こしてくれたのはオマエだってこと、俺は忘れない。
何者でもなかった俺を、
群集の中からみつけて、俺の中の文字を、
そこにあるんだよって教えてくれたお前のこと、俺はずっと忘れないから。
ま、忘れたくても、
いっつも電話掛かってくるし、会いたくなるわけだけどな。
いつか、俺たちの関係に、また名前がつく日がくるのかな?