ブログネタ:空を飛べるのと、海にずっと潜っていられるのどっちがいい?
参加中なーんか、ちとブログネタ関係不機嫌さが現れる今日この頃、
え?なんで?なんでしょうね!(怒)
閑話休題
朝、ベッドには血が乾いて広がっていた。
仰向けだったのに判ったのは匂いの所為。
随分と長いこと、血のむせ返るような匂いなんて忘れていたから、夢を見たんだと想う。
身を起こしたときに、後ろに引っ張られる感覚があったのは、
背中に異物があったから。
鋭い痛みと共に、その異物を乾いた血の中から引っぺがす。
それは、紅に染まった羽根。
何故、背中に羽根?
そんなことはどうでもいい、だって夢だから。
窓から広がる風景は、全く変わらないのに、誰も人間が居ないのは、夢だから。
そのまま4階の窓から、身を躍らせたのは、何故かなんて、
同じくどうでもいいこと。
ふわりなんて、映画のイメージじゃない。
辛うじて、地面に激突死しないだけの勢いで、したたかに身を打ち付けた。
それでも、近くにある丘までいって同じように飛び上がろうとしたのは、
心のどこかに空に対する憧れがあったから。
何度も何度も練習して、体中が打ち身だらけになったけど、
判ったことといえば、羽根を動かす筋肉は胸についてるんだって事。
呼吸もできないくらいの筋肉痛だよ。
1週間もしたころに、コツは判ってきたんだと想う。
落ちたら死ぬなって高さから、空に向かって飛び上がった。
そのときに、風が見えた気がした。
そうか、この羽根は風を切るためのものじゃない。
風に乗るためのもの。
でも、長くは続かない。
僕の身体は、ハトのように足が細いわけでもなければ、
セミのように身体が空っぽなわけじゃない。
空っぽなのは、心と頭の中だけ。
だから、ほんの2分38秒、滑空できた空は忘れない。
また、別の朝。
僕は海辺で倒れていたよ、うつ伏せで。
眼を開けたのは、水の中。
はっきりとうつるその風景に、違和感だけを感じた。
水中レンズのように、瞬膜がついた僕の眼。
死ななかった理由は簡単。
水の中で呼吸ができたから。
だから、沖まで行ったよ。
原色の世界の中で、まだ見ぬ色彩を確かめたかったから。
ほんの10mの水深までは、世界は美しかった。
レンブラント光線は、空にだけ広がるわけじゃない。
海の中にも、天国への階段は存在した。
僕は犬にしか表情があることを知らなかった。
でも、それは間違い。
魚にも、海月にも、イソギンチャクや海草にも。
表情はあることを知った。
地上の楽園は、実は海にこそあるんじゃないかなんて、啓示が聴こえそうだった。
僕が吐き出す泡が、魚たちの腹を擦り、
それは心臓の音にとてもよく似ていた。
いつしか僕は眠りに落ちて、その身体は揺籃のように僕を知らないところへ連れ去った。
覚醒は冷たさの所為。
眼を開いても、身体を動かしても、
そこは闇だった。
光の階段?そんなものはどこにもありはしない。
ぞっとするほどの冷気の中で、なにもかもが闇だった。
眼を開けても、閉じても、何も変わらない。
真実の闇。
僕は、泳いだ、恐らく上だと想う方向に。
在るべき方向に。
それが間違っていなかったから、
僕は再び眼を開けることになる。
今度こそ、朝だった。
ベランダで、ドラマみたいにスズメが鳴いていた。
ほっとするより前に、胸に羽根があったときの筋肉の痛み、打ち身。
そして、深海の光無き恐怖が、同時に僕を襲った。
ありえない感覚。
だけども、ほんとうに時折ある。
夢の中の非現実が、現実に戻った後も、
理解できる『現実の』感覚として、自分の身体に残っているとき。
ベッドからおろした左足に、確かな重さを感じた。
呼吸した空気に、いつもの不味さを感じた。
空の上にも、海の下にも行けない、今の僕を、
ほんの少しだけほっとしたのは、きっと今日が初めてのこと。
朝になり、夜になる。
ここが僕の生きる場所。