それは、僕がまだ小学生の頃。

父が、今の僕と同じくらいの年の頃。


僕の製造元は、本を読む事が大好きで、

今みたいに、食に目覚めてもいないあの時代は、

子供の目から見ても仕事人間だったのです。


まあ、詳しく書くと、開きたくない扉が開きそうなので、割愛。

よく、キレてちゃぶ台返ししてましたね、あの人。



余談ですが、

かつて製造元は、自分の舌に絶対の自信を持っておりました。


僕の好き嫌いに冷ややかな目で対応し、

子供だなといわんばかり(いあ、子供だけど)でした。


そんな或る日。

父が好きでいつも自分の食卓にこっそりビンに入れておいて、

食後にちびちび食べている”アンズ”。

その日の父は機嫌が良かったらしく。


もったいないなあ、もったいないけど、一つオマエにやる。


と、一切れそれをくれたのです。


が。


口に入れるなり、異様な臭気と味に…


ぶぼっ!吐き出す俺。


顔色が変わる父。

口を開く前に俺が、


「とーちゃん、これ腐ってますよ。」


間一髪いれず、母親にも食べさす。


苦笑いの母親。


冷ややかに見る妹。


非常に気まずい父。


嗚呼普段あれだけ舌の自慢をしていたのに。

どれだけの料理を食べたか自慢していたのに。


貧乏サラリーマンだった俺に、

”腐ったもの食べても判らないんですね”

と、冷ややかに見られる父。


ああ、かわいそう、かわいそう。(棒読)


ま、その一件以来、しばらくは試験みたいな日々でしたねえ。


土日の朝に、真面目腐った顔で、

「おい、ヒデキちと起きてこれを食え!」


んで、まあコーンフレークやら、豆腐やら、その他色々缶詰とかね。


賞味期限切れて、食えるかどうかのチェック係りになったようで。

家の食材が一新されるまで、お父様の毒見役を仰せつかりましたとさ。


ま、優柔不断のお父様と違って、ワタシ自分の好い悪いははっきりしてますのでね。


考えてみれば、父親とまともなコミュニケーションが取れるきっかけになったのって、

結局食い物とドラクエのお陰かもしれませんで。


ま、なんでドラクエなのかは、いずれ。



ちゅか、気がついたら余談で1話くらいになっちゃったから、

今日はこの辺でいいかぁ~。


父が今の俺の歳、俺が小学校の話はまた今度。


皆様、素敵な昼下がりをお楽しみくださいまし~。